[PR] 賃貸住宅

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- │Comment- | Trackback-│編集

(9) 18-27

18 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/08/01(金) 00:19:20.18 0
「暑いー・・・」

チリンと鳴く風鈴の音を聞きながら、窓枠に腕をついて僅かに吹く風を感じていた。
季節はもうすっかり夏だ。
外は夜でも蒸し暑いし、昼間はセミがせわしなく鳴いている。

今年の夏はどうしようかな。
お祭りに花火大会・・・毎年あるイベントだけど、やっぱり外せない。
また、愛斗と相談しなくっちゃ。

そろそろ浴衣も出さなきゃなぁ・・・なんて思っている時に、
家の前の道路に人影が見えた。

「ガキさん!」
「愛斗!?」

私がその人影を愛斗と認識する前に名前を呼ばれ、かなりびっくりしてしまった。
でも、愛斗は私のことなんて気にせず、笑顔でブンブン手を振っている。
こんな時間にいきなりどうしたんだろう。

「ちょっと待ってて!」

叫びながら窓を閉めて、部屋を飛び出した。
階段を降りながら自分の服装がジャージだったことに気付き、慌てて部屋に戻った。


「お待たせ~!待たせてごめんねっ」

適当に服を着替えて、再び部屋を飛び出してきた。
階段も転がるように降りてきたので、少し疲れてしまった。


19 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/08/01(金) 00:19:49.75 0
「ん、えーよえーよ」

塀にもたれていた愛斗は、俺もいきなりやったし、と言いながら玄関の方へ歩いてきた。
玄関口にあるオレンジ色のライトに愛斗の顔が照らされる。
愛斗の顔が見られたことが今更嬉しくなって、口元が緩みそうになった。

「ど、どーしたの?」

愛斗にバレたくなくて、慌てて口を開いた。

「花火しない?」
「花火?」

私が愛斗の顔を見上げたら、愛斗が右手に持っていたビニール袋を目の前に出した。

「今日母さんが買ってきてくれたから、ガキさんとやろうと思って」
「それでわざわざ来てくれたの?」
「うん。あかんかった?」
「そんなことないよ。・・・嬉しい」
「良かった」

ヘヘ、と笑う愛斗を見て、私も自然と笑顔になった。

「じゃあ、準備しよっか」

お母さんにも手伝ってもらって、ローソクや水の準備をした。

「よーし、やるぞー!!」

愛斗は袋から花火を何本か出して、準備万端だ。
こういう子供っぽいところが、本当に可愛いと思う。

20 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/08/01(金) 00:20:15.82 0
「ガキさんもこれ持って!」
「はいはい」

愛斗から一本花火を手渡され、二人でローソクに近づける。

「きたきたきたぁー!!」
「ちょ、愛斗危ないって!」

火がつくや否や、勢いよく立ち上がってはしゃぎ出す愛斗。
なんだか危なっかしくて、私は気が気じゃなかった。

「ガキさんの花火キレー!」
「ん?あ、おぉ、キレイだねー」

愛斗ばかり見ていて、自分の花火を見ていなかった。
これではどっちが危ないのかわかったもんじゃない。

「次俺もそれやる!」
「じゃあ私は愛斗がやってたやつにするね」

その後も二人でわいわい花火を楽しんだ。
ついに花火も一種類を残すのみだ。

「もう終わりかぁ」

愛斗が線香花火を手に取りながら、寂しそうに声を出した。


21 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/08/01(金) 00:21:43.84 0
「また買ってくればいつでも出来るよ。今度は私が買ってくるからさ」
「本当に!?」
「うん。私だって、また愛斗と花火したいもん」
「うん!俺もしたい!」

愛斗はいつだって真っ直ぐだ。
こういうことも恥ずかしがらずに言ってくるから、いつも私は照れてしまう。

「そーや、ガキさん」
「何?」

私が言葉に詰まっていると、愛斗が思いついたように言った。

「競争しよ」
「競争?」

愛斗はニコニコ笑いながら、私に線香花火を手渡した。

「先に落ちた方が負けで、勝った方の言うことを聞くの」
「えー?」
「嫌?」
「え、いや、いいけど・・・」
「よし、決まりぃー♪」

どうも私は愛斗のしょんぼりした顔に弱いみたいだ。
なんの文句も言えなくなるというか・・・。

「じゃあいくで?」
「いいよぉ」

やるからには勝ちたい。
なんて言うかなんて浮かばないけど、それは勝ってから考えればいい。

22 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/08/01(金) 00:22:17.68 0
同時に花火に火をつけ、一度大きく息を飲んだ。
右手に意識を集中させて、なるべく動かさないように・・・。
チラ、と愛斗の方を見てみると、愛斗も真剣な表情で花火を見つめていた。

愛斗は勝った時になんて言うつもりか、もう決まってるのかな。
決まってるとしたら、なんて言うつもりなんだろう。
あー・・・なんかドキドキしてきた。
落ち着け落ち着け。落ち着け自分・・・!

―ぽとっ

「「あ」」

二人で顔を見合わせると、愛斗がニィーと笑った。
しまったー・・・。

「俺の勝ちやなっ」

愛斗の花火は、まだバチバチと燃えていた。

「じゃあ、どーぞ」
「えーとな・・・どうしよっかな」

愛斗の花火が消えた後、ゴミやバケツ等を軽く片付けた。
庭に置いてある縁台に座って一息ついたところで、私から切り出した。
片付けている間もどうしようどうしようってずっと言ってたけど、まだ決まらないのかな。

「私にできることなら何でもするから、何でもいいよ?」
「んー・・・うん。どれにしようか迷う」

そんなにいっぱいあるのか。
眉間に皺を寄せて悩む愛斗を見て、思わず笑ってしまった。

23 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/08/01(金) 00:22:57.01 0
「じゃあ、じゃあ・・・言うで?」
「うん、いいよ」

なんだろう。
やっぱりドキドキする。
愛斗と見つめ合ったまま、愛斗が口を開くのを待つ。

「あんな・・・」
「うん」
「今度の祭り、一緒に行ってくれる?」
「・・・うん?」

え?

「いや、やっぱりやめ!ちょっと変える!」
「ゆっくりでいいからね。落ち着いて、愛斗・・・」

さっき祭りって言ったよね?
そんなの言われなくても愛斗と行くつもりだったんだけど。
愛斗はそうじゃないのかな。
なんかちょっとショック、かも。

「今度の花火大会・・・あー!これも違うな!ちょっと待ってちょっと待って」

愛斗が私の肩をばしばしと叩きながら、あーとかうーとか呻いている。
今一瞬、花火大会に誘おうとした?
だからそれも最初から一緒に行くつもりだってば・・・。

「俺のそばに、ずっと一緒におってくれる?」
「・・・っ!・・・え、え?」
「祭り行く時も、花火大会行く時も、これからずっとずっと・・・そばにおってくれる?」


24 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/08/01(金) 00:24:41.10 0
愛斗は耳まで真っ赤になっていた。
きっと私も同じだろう。
顔がすごく熱い。

「里沙ちゃん」

私が何も言えずにいると、愛斗は私の右手をぎゅっと握ってきた。

「あ、愛斗・・・っ」

そんなの反則だよ。
名前を呼ぶなんて、手を繋ぐなんて、恥ずかしいくせに
そんなに可愛くてカッコ良い顔をするなんて、反則だよ・・・。

「愛斗のバカ・・・」
「え、な、なんで!」

私は赤くなる顔と嬉しくて泣きそうになってる顔を見られたくなくて、
愛斗の肩に顔を押しつけた。

「さっきから、愛斗は意味無いことばっかり言ってる」
「え?」
「お祭りも花火大会も一緒に行くつもりだったし、もちろん、あの、これからも・・・さ。」

恥ずかしくて、それ以上上手く言葉にできなかった。
愛斗には、ちゃんと伝わっただろうか。

「ガキさん」

もう一度名前を呼ばれて、私はそっと顔を上げた。
違う呼び方だけど、その音から伝わる温かさは同じだ。

25 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/08/01(金) 00:25:13.55 0
「俺、自惚れてもええの?」
「し、知らないっ」
「わかったわかった」

愛斗は優しい声で笑った。
何それ何それ。
愛斗が自惚れてくれないと困るよ。

「私だけ自惚れてるみたいで、バカみたいじゃんか」
「うん、ごめんな」

愛斗はポンポンって私の頭を撫でてくれた。
やっぱり恥ずかしくて顔は見れないけど、きっと愛斗はすごく優しい顔をしてるんだろう。

「じゃあ、お願いごと変えるわ」
「え?」

待って。そんなの聞いてない。

「ちょっと待っ・・・」
「ちゅーして?」
「ええええ!?」
「やってガキさん可愛いんやもん」

可愛くないし!
それとこれとは話が違うし!

「ほら、俺が勝ったんやから、言うこと聞いてや」
「ううう・・・」

でもさっきお願いしたじゃん!


26 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/08/01(金) 00:25:50.25 0
なんでそれは無効になってるのさ!

「でも、でもさっき愛斗・・・!」
「あれは意味無いんやろ?」
「な・・・っ」

やから早く、と言って、愛斗は目を瞑った。
も~愛斗のバカ!

私は思いきり目を瞑って、そっと愛斗にキスをした。
すごく恥ずかしくて、数秒後には離れてしまったけど。
が、頑張ったよ・・・?
恥ずかしくて、顔から湯気が出てきそうだ。
夏の暑さなんて比にならないぐらい顔が熱い。

「ありがと、ガキさん」

でも、愛斗もなんだか照れくさそうに笑った。
自分から言ったくせに、可愛いなぁ。
耳を赤くしながら頭を掻く愛斗の横顔を見て、私は温かい気持ちになった。

「また花火しような」
「また勝負するの?」
「もちろん」
「次は絶対負けないからね」
「次も俺が勝つもん」

二人で言い合いながら、楽しく笑った。


27 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/08/01(金) 00:26:14.37 0
「じゃあ、また帰ったらメールするで」
「うん、わかった」

愛斗は私の手をギュッと強く握ったかと思うと、そのまま手を離した。
それは、線香花火の火が落ちるようにちょっとだけ寂しかったけど
私は何も言わずにその手を振った。

もう夏休みだ。
会おうと思えば、いつだって会える。
それに、楽しいイベントだっていっぱいあるんだから。

「またね、愛斗」
「おやすみ、里沙ちゃん」

愛斗を見送って、家に入る。
最初に考えたことは、いつ花火を買いに行こうかなってこと。

楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうけど
そしたらまた次にある楽しいことを考えればいい。

今はとりあえず、愛斗からのメールを待つことが一番・・・かな。

スポンサーサイト

| 愛斗×ガキさん | 02:53 │Comment- | Trackback-│編集

| main |

説明

イケメン・タカスレの小説まとめです
てけとーです
職人さま方に感謝!

メールフォーム

name:
message:

ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。