[PR] 賃貸住宅

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- │Comment- | Trackback-│編集

(4) 608-616

>>566-572


608 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/05/31(土) 10:16:32.99 0
自宅に戻った里沙は、母親に愛斗が来ても絶対に通すなときつく言ってから、自分の部屋に駆け込んだ。

ドアを閉め、愛斗から借りた辞書を胸に抱えたまま、ずるずるとドア伝いにしゃがみ込む。

耳のうしろに愛斗の息遣いがまだ残っているようでカラダが竦む。
今まで感じたことのないものがカラダを滑り落ちた感覚も思い出されて鳥肌が立った。

思い出すだけで怖さが募る。
愛斗が愛斗じゃないみたいだった。

しゃがみ込んだまま膝頭に額を当てたとき、玄関のチャイムが鳴った。


思わず頭を上げた里沙の耳に、対応に出た母親の声と愛斗の声が聞こえてくる。

通すな、とは言ったが、里沙の母親は小さい頃から愛斗にはベタ甘なので、
里沙の頼みが叶う見込みはもとより低かった。

609 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/05/31(土) 10:16:44.21 0
すぐに階段を駆け上ってくる足音がして、けれど里沙の部屋の前でその足音が急に静かになって。

弱々しく、里沙がもたれているドアの向こうからノックされる。

「…ガキさん、ごめん、オレ…」
「……帰ってよ」
「ガキさん…」

愛斗が悪いわけじゃない。
里沙だって本当はわかっている。

どんなに可愛らしい外見をしていても愛斗はれっきとした男で、
拗ねたり甘えたりしても、いつだってどんなときだって、いざというときは全力で里沙を守ってくれる。

抱きしめられた腕のチカラを振り解けなかったことが怖かったんじゃない。
いつもと違うことをされたことがイヤだったわけでもない。

ただ、思っていた以上に愛斗が男だったことが、里沙を怯えさせたのだ。

610 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/05/31(土) 10:16:56.00 0
「……オレのこと、キライになっちゃった?」

思いもしなかった言葉が聞こえて、里沙は咄嗟にドアに振り向いた。

ドア一枚隔てていても、声色の弱さから愛斗の表情が想像できる。
きっと眉をハの字に下げて、拗ねてるみたいに唇のカタチを歪めて項垂れているに違いない。

「もし…、もしそうならオレ…」

語尾も弱々しく掠れて聞き取りにくくなる。

「…ガキさんがオレのことキライになっちゃったとしても、でも、ちゃんと謝らせてよ」

なのに、その言葉と決意の強さに心が揺れる。

「さっきのこと、まだちゃんと謝ってない。ちゃんとガキさんの顔見て謝りたい。
 キライになっちゃったんなら、そのあとでオレのこと振ってよ。 
 でもオレはまだガキさんのこと好きだから、世界で一番好きだから。
 振られたって何したって、迷惑だって言われたって、何回だってまたコクるから。
 何百回でも好きだって言うから。また好きになってもらえるまで、何万回だって」

愛斗の声が届くたび、里沙の心が震える。
その声の優しさと強さと真摯さに心が応えて涙が出る。

611 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/05/31(土) 10:17:13.97 0
さっき、愛斗に抱きしめられながら怖くて流したものとはまるで違う涙が里沙の頬を伝い落ちて、
それをそっと拭いながら里沙は静かに立ち上がった。

辞書を抱えたままドアを開けると、まさか開くとは思ってなかったのか、
愛斗が大きく目を見開いて一歩下がる。

「ガキさん…」
「……キライになんか、なってない…」

ぽつりとそれだけ言ってすぐに背を向けて部屋の奥へと引っ込む。
ドアを開けたままでいたから、愛斗も里沙を追って部屋の中へと入ってきた。
けれど、ドアを後ろ手で閉じただけで、机のほうまで移動した里沙のもとまでは近付いてこない。
抱えていた辞書を置き、里沙もそのまま立ち尽くす。

「…あの、ガキさん……」
「ん…」
「ホントに、キライになってない?」
「……なってないよ」
「でも、怒ってる」
「怒ってなんか…」
「だって、オレのこと見ないし」

顔を見せて欲しいと言われているのはわかったけれど、
今の自分がどんな顔をしているのかわからなくて振り向けない。

613 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/05/31(土) 10:17:53.98 0
身動きせずにいた里沙をどう解釈したのか、里沙の背後で愛斗が細く息を吐き出す。

「…そっち行っていい?」

答えに迷って答えられずにいたら、ゆっくりと歩み寄ってくるのが空気の流れでわかった。

里沙のすぐ隣まで近付いてきた愛斗がそっと里沙の手を掴む。
まさか触れてくるとは思わず、咄嗟にカラダを震わせた里沙だったけれど、
愛斗はためらいを窺わせながらも掴んだ手に少しだけチカラをこめた。

「…ごめん、怖がらせるつもりじゃなかったんだ。
 今日はもう会えないと思ってたから、嬉しくて、抑え効かなくなった」

顔を見ることは出来なくても、今の愛斗がどれほど真剣な顔付きで里沙を見ているのかがわかる。

「ガキさんがイヤなら、もうあんなことしない。二度としない」

声と、里沙の手を掴む手のチカラの真摯さに里沙の心臓が大きく跳ね上がる。
しない、と言ったら、愛斗は本当にそうするだろう。
でも、それは里沙が本当に望むことではなかった。

614 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/05/31(土) 10:18:07.63 0
「……それは…やだ」
「え?」

掴まれた手とは別の手で今度は里沙が愛斗の手を掴むと、
里沙のほうから触れてくるとは思わなかったらしい愛斗のカラダが揺れる。

「……さっきみたいなのは…まだちょっと怖い…けど…、でも」

ドキドキと息苦しくなるほどに心臓が高鳴っている。
その音を聞かれたら、と思うと恥ずかしかったけれど、
もしも愛斗の耳に届いたとしたら、ちゃんとわかってもらえるかも知れないとも思った。

「……愛斗に、触ってもらえないのは、もっとやだ…」

顔から火が出そうになって、それを隠すように里沙のほうから愛斗の胸に飛び込む。

抱きつかれた愛斗は思わずカラダを強張らせたけれど、
自分から愛斗の胸に飛び込んでおきながらまだどこか震えている里沙にたまらなくなって、
そっとそっと、包み込むように里沙を抱きしめた。

615 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/05/31(土) 10:18:19.16 0
「……ガキさん…」

里沙の耳元に囁くように呼ぶと、愛斗の腕の中で里沙のカラダからゆっくりと緊張がほどけていくのがわかった。

「……オレのこと、キライになったんじゃない?」
「…なってないよ」
「…ホント?」

試すような言葉にも聞こえたけれど、不安の滲む声色が里沙を少しだけ落ち着かせる。

愛斗がしたように、里沙もそっとそっと、愛斗の背に自分の腕をまわすと、
それがわかったのか、里沙を抱きしめる腕のチカラから緊張がゆるんでいくのが伝わってきた。

616 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/05/31(土) 10:18:34.72 0
「さっきはごめん…」
「…もぉいい」
「オレ、マジでガキさんのことがめちゃくちゃ好きだ」
「…うん、あたしも…」
「大事にする。マジで」
「うん…」

里沙を抱きしめながら上体を少し離した愛斗が里沙の額に自分の額を押し当てる。
至近距離で見つめてきた愛斗に、その優しい目の色に、里沙の中でまた愛斗への気持ちが膨らむ。

とっくに知っていたことなのに、改めて想いが通じ合った気分になってだんだん嬉しくなる。
愛斗を好きになってよかったと、素直に思えた。

「好きだよ、ガキさん」
「…あたしも、好き…」

愛斗の口元が柔らかく綻んで、そのまま額に口付けされる。
次にどうしてほしいかを伝えるように、里沙はゆっくり瞼を下ろした。
今度はさっきのように怯えることなく、ほんの少しの期待と緊張を残したまま。




おわれ
スポンサーサイト

| 愛斗×ガキさん | 11:20 │Comment- | Trackback-│編集

| main |

説明

イケメン・タカスレの小説まとめです
てけとーです
職人さま方に感謝!

メールフォーム

name:
message:

ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。