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(3) 25-30

25 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/05/17(土) 10:01:15.85 0

「ガキさん!!」

保健室の引き戸が、切羽詰ったようなそんな声と一緒に乱暴に開かれる。

何事か、と、室内にいた人間が揃ってそちらに向くと、応援団部の練習の途中だったのだろうか、
黒い学ランに映える白タスキと白ハチマキをした愛斗が、ひどく心配そうな面持ちで肩で息をしていた。

「あれ? 愛斗?」

今にも泣き出してしまいそうな愛斗を見て、
その場にいた保健医と数人の女子生徒は驚きで咄嗟に声が出なかったが、
愛斗にその名を呼ばれた当人は、さらっと愛斗の名を告げた。

「お、オレ…、ガキさんが怪我したって聞いて…っ」

表情と同じぐらいの心配そうな声が聞こえたときには、愛斗はもう、里沙の足元に跪いていた。

「たいしたことないってば、ただの捻挫だし」

ベッドに腰掛けていた里沙のいうように、靴も靴下も脱いだ素足の左足首には、
愛斗のタスキやハチマキにも負けない白い包帯が巻かれている。

愛斗に代わるように、里沙の足元に膝を付いて包帯を巻いていた保健医の中澤が立ち上がった。

26 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/05/17(土) 10:01:46.72 0

「ただの捻挫でも今夜はきっと腫れて疼くと思うで」
「えっ」

言われた当人より、愛斗のほうが驚きの声を上げた。

そんな愛斗の頭を、上からぐっ、と押さえつけ、不敵そうに口元だけで笑う中澤。

「捻挫を甘くみたらアカン。
 安静にしてやんとクセになったりもするから、今日はオマエがちゃんと送ったれよ」
「も、もちろんです!」
「ほな、あたしはこのあと職員会議あるから行くわ。
 高橋来たから、新垣は高橋にまかせて、アンタらももう帰り」

里沙に付き添っていたらしい数人のクラスメートも、
愛斗の登場と中澤の言葉であっさり出て行ってしまい、
保健室には愛斗と里沙だけが残されてしまう。

自分のことなのに、自分以外の人間だけでやりとりしているのを
口を挟むことも出来ず見ていた里沙は、愛斗とふたりきりになってようやく、
自分を見上げてくる愛斗の前髪がいつも以上に乱れていることに気付き、
怪我をした自分を愛斗がどれほど心配して駆けつけてくれたのかを悟った。

27 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/05/17(土) 10:02:18.91 0

ベッドに腰掛けているせいで無造作に投げ出されている包帯の巻かれた里沙の足。
それに、愛斗がそっと手を伸ばす。

「なんで捻挫なんてしたのさ?」
「…友達と喋ってて、階段踏み外したの。ドジっちゃった、アハハ」

愛斗の声色は里沙を非難するようなものではなかったけれど、
なんとなく居心地が悪くてそんなふうにおどけて言うと、
ゆっくりと頭を上げた愛斗が唇の形をへの字にして里沙を見つめてきた。

「…オレ、ガキさんが怪我したって聞いて、心臓止まるかと思った」
「そんな、それはちょっとオーバーじゃない?」
「そんくらい大事って言ってんだよ」

はあっ、と深めに息を吐き出して、愛斗の手が里沙の足を撫でる。
撫でる手の優しさから、怒っているワケではなく心配しているのだとわかって、
里沙はおずおずと愛斗の肩に手を伸ばした。

その手に気付いた愛斗が頭を上げて、言葉を探している里沙をまっすぐ見つめる。

「…あの…」
「……捻挫だけで済んでよかった」

言い淀んだ里沙に対し、愛斗が先に口を開く。

「痕が残るような怪我とかじゃなくて、マジでよかった……」

安堵を声に乗せたまま、愛斗が里沙の膝に額を押し付ける。
顔が見えなくても、里沙には愛斗がどんな顔をしているのかがわかって、
自分がどれほど想われているのかを改めて実感する。

28 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/05/17(土) 10:02:40.60 0

汗で湿っている髪の中にそっと手を差し込む。

「…ごめんね」

ぽつりと声を出すと、愛斗が不思議そうに顔を上げた。

「心配かけて、ごめんなさい」

謝られるとは思ってなかったのか、愛斗はその大きな目を更に大きく開いて、
けれどすぐに、いつもの柔らかな優しい笑顔になった。

髪に差し込まれた里沙の手を掴み、その手を自身の口元まで導いて指先にキスをする。

「…っ」

突然のことに声を詰まらせた里沙に構わず、
手を掴んだままゆっくり立ち上がって愛斗は里沙の隣に腰を降ろした。

心配させてしまったことと、指先という思いがけない場所にキスされたことで、
隣に座ったのに、里沙は愛斗の顔が見れなかった。

「ガキさん」
「な、なに?」
「なんでこっち見ないの?」
「なんで、って…だってなんか、恥ずかしい…」

そんなふうに言ったあと、掴まれていた里沙の手が少しだけ強く握られた。

「……そーやって、可愛いこと言うなよなー」
「はっ?」

29 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/05/17(土) 10:03:01.35 0

いきなり意味不明なことを言われ、咄嗟に俯き加減にしていた顔を上げて愛斗を見ると、
それを待っていたかのように唇を掠め取られる。

「ちょ…っ」
「…怪我してるんだから無理させたくないって思ってんのに、こういうことしたくなるだろ」
「か、可愛いって、あたし、別に…っ」

恥ずかしくて顔に熱が集まるのがわかる。
愛斗の顔付きが、また嬉しそうに緩む。

「ほら、そういうの」
「そ、そういうの、って…」
「何やっても可愛いからダメ」
「ダメとか、意味わかんな…っ」

言葉尻を奪うようにまたキスされて、それもただ押し付けるだけの優しいキスではなくて。

「……ん…」

唇の端から漏れる自分の声がなんだかいやらしく聞こえて、思わず愛斗の学ランを掴む。
と、静かに、けれど名残惜しそうに愛斗が離れた。

「…えっち」
「ガキさんに対してだけな」

お互いの額を合わせ、しばらく見つめ合って。
どちらからとなく、再び唇を重ねた。

お互いに顔の至るところすべてにキスをして、ゆっくりと抱き合う。

30 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/05/17(土) 10:03:20.57 0

しばらくそうやって愛斗の胸に寄りかかるようにしていた里沙は、
ふと、さっきの中澤の言葉を思い出した。

なんとなく、嫌が予感がした。
まさか、まさか、ねえ?

「…ねえ、愛斗」
「うん?」
「あたしのこと、どうやって連れて帰るつもりなの?」
「おぶってく」

嫌な(というより恥ずかしい)予感的中。

「それはやだっ」
「何言ってんだよ、それ以外にどんな方法があんだよ」
「…お、お母さんに迎えに来てもらう…」
「ダメ。中澤先生に、オレが送ったれって言われた」
「やーだーっ」

里沙の反論は、愛斗の固い決意の前では虚しく響くだけだった。






おわれ
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| 愛斗×ガキさん | 12:30 │Comment- | Trackback-│編集

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説明

イケメン・タカスレの小説まとめです
てけとーです
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