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(6) 839-840

839 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/27(金) 16:50:55.86 O
11時55分
ぎゅっと携帯を握りしめて画面とにらめっこ


もうすぐ・・・もうすぐだ


今年は誰が一番先に送ってきてくれるのかなんて考えてみる
あの人は送ってくれるかななんて期待もしてみる
どんな内容かなんて想像も


そして・・・


0時になるとほぼ同時に携帯の着メロが鳴り響いた

ディスプレイには『高橋愛斗』の文字


一番きてほしかった人の名前
一気に胸は高鳴り、嬉しさがこみ上げる
期待に胸を躍らせ開いてみるとそこには・・・


『亜弥ちゃん誕生日おめでとう』



たったそれだけ
絵文字もなにもなく

840 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/27(金) 16:52:38.50 O
なにこれありえない
普通もっとなんか書くでしょ?
なのにおめでとうだけって
もしかして間違って途中で送信しちゃったとか?
そうだよね?きっとそう!
・・ってそんな訳ないか


『もうちょっとないんかい!』って返信してやろうと思ったけどやめた
だってなんかバカみたいじゃん
どんなメールかななんて勝手に想像してた自分が
めちゃくちゃ恥ずかしいじゃん


悔しいからこんな奴・・・あたしからの返信を待ち続けてればいいのよ
あたしのことを思いながら眠りにつけばいい
今日は



今日だけは・・・・・・



終わり
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| 愛斗×亜弥 | 18:49 │Comment- | Trackback-│編集

(6) 818-820

818 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/27(金) 00:29:32.09 0

「ドライブしよ。今すぐ玄関出てきてな」

そう言われて電話を切られた。
なんなんだ、一体。強引だ、ホントに。

ドライブと聞いてもピンと来ない。
確かに、愛斗は最近バイクの雑誌に夢中だ。
でも、うちの高校は免許とれないし、
真面目バカの称号を欲しい侭にする愛斗がそんな違反をするわけがない

一体なんなんだ、改めてそう、考えていたら…


ぴんぽーん
結構間抜けなインターフォンが鳴って、慌てて服を鏡に映す。
休みの日だからって別に気を抜いたカッコしてたわけじゃないけど
一応、ううん、きっちり身なりには気を配りたい。
大好きな人と過ごすんだから…


819 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/27(金) 00:30:04.34 0

「どーぞ、お姫様」
きっとどっかの雑誌で読んだんだろう、
愛斗はわかりやすいくらいご機嫌さんでその言葉を紡いだ

うながされた助手席は、見慣れた自転車の後ろ
黒いママチャリは、ガキさんを乗せたいって理由で選ばれた愛車。
一見ダサいんだけどね…うん、やっぱ嬉しいの。



「風きもちー」

快調に飛ばす、愛斗号
目的地はどこ?なんて聞くのはやめた
だってどこだって良いんだもん。
愛斗といれるなら。

振り落とされないスピードってわかっていても
速い、なんて言いながら
あたしは愛斗の背中にくっついた


820 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/27(金) 00:30:52.31 0

このドライブに唯一の不満があるなら、
愛斗の顔が見れないことかな

ね、愛斗といっしょならどこにでも行くけどさ
ついたらさ、うん…

『キスしたい…』

愛斗にそんなこと言えない自信があったから、
風の音に紛れさせて、こそっと呟いた



それに直接言わなくても、愛斗はこの願い、叶えてくれるでしょ?

| 愛斗×ガキさん | 18:48 │Comment- | Trackback-│編集

(6) 744-749

744 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/24(火) 07:51:07.59 O
>>348-351の続き

キッチンに行き、買い物袋の中身を出していると、後ろから愛斗が伺うように聞いてきた。

「ガキさんごめん。怒った?」
「別に怒ってないから」
「うそや、声が怒っとる。怒ってえんのやったらこっち向いてよ」

恥ずかしいやらムカつくやらで愛斗の方を向けずにいると、エプロンの端っこをクイッと引っ張っぱられる。
それに促されるようにゆっくりと愛斗の方を向くけど、なんとなく顔は見れなくて俯いてしまった。

「ほんとに怒ってないから」

呟くように言う私の顔を愛斗が不安げな目をしながらのぞき込んだ。

「ほんとに?」
「うん、怒ってないよ」

ただ恥ずかしかっただけ、悔しかっただけ。
いっぱいいっぱいな自分が。私の方が好きが大きすぎるような気がして。
そんなこと愛斗には言えないけどね。

「ならええんやけど…」
「ほら、始めるよ」

まだ疑っている様子の愛斗の肩をポンとたたいて笑ってみせると、それに答えるように愛斗も笑顔を向けてくれた。

745 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/24(火) 07:52:49.89 O
「よし!始めよっか!おいしいの作るぞぉ!」
「おう、俺は何したらええ?」
「う~ん、先にスープ作っちゃうからじゃがいもとニンジンの皮をむいてくれる?」
「うん、わかった」
「じゃあこれ、お願いね」
「よっしゃ、やるか!」

腕まくりなんかして気合い十分の愛斗に、ジャガイモとニンジンを渡す。
渡した野菜を洗った後、皮むき器で皮むきをしていく愛斗。
その様子を見ながら、私もレタス、タマネギ、ベーコンと切っていく。
自分の家ではないということと、何よりも愛斗のそばで料理をするということに、やっぱり少しかたくなる私。
元々あまりうまくはない包丁さばきが、さらにぎこちなくなってしまって思うようにいかない。
横では愛斗が楽しそうに皮むいてるっていうのに。

そんなことを思っているうちに愛斗はあっという間に皮むきを終えてしまった。

「はい、でけたよ~」
「ありがとう」
「次は何すればええの?」

じゃがいもとにんじんを私に差し出しながら、早く次のことがしたい様子の愛斗。
そんな愛斗に少し困惑する私。
「そうだな~、今はいいや。」
「なんかやりたい」
「でも今は手伝ってもらうことないんだよねぇ」

本当は手伝ってもらえることもある。
でも愛斗がそばにいると料理が逆に進まなくなってしまいそうだから。
残念そうにしている愛斗の顔を見ると少し胸が痛むけど、これもおいしい料理を食べてもらうため。

746 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/24(火) 07:54:35.37 O
「じゃあここで見てる」

心の中で愛斗に謝ってたら、いきなり思いも寄らないことを言われた。

「それはやめて」

考えもせず即答する私。

「なんで?」
「なんでって、見られてたらやりづらいでしょうが~」
「俺のことは気にせんでええから」

気になるに決まってるじゃない。
そばにいるだけでも気になるっていうのに、見られてたら料理なんかできるわけない。

「いやいや、気になるからぁ。あっちでテレビでも観ててよ」
「えー」
「えーとか言わない。ほらほらあっちに行ってて、後でまたてつだってもらうから。ねっ?」
「…あいよ」

無理やり愛斗の背中を押しながらリビングへと連れて行く。
初めは抵抗していた愛斗も渋々了解してくれてソファに座った。

キッチンに戻った私は、リビングからテレビの音が聞こえてくるのを確認して、再びスープづくりに取りかかった。
材料を切り終え、少し炒めていく。
愛斗に見られていない分少し気が楽になり、作業のペースもあがっていった。
うん、いい調子。

順調に作業が進み、材料を煮込み始めた時だった。
なんだか後ろからの気配と熱い視線を感じた。
嫌な予感がして振り返ってみると柱の陰からこっちを見て"まずい"って顔をした愛斗と目があった。

747 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/24(火) 07:56:53.74 O
「ちょっと愛斗!見ないでって言ったでしょーが」
「あっ、バレた?」
「バレバレだらか、いいかげんにしなさい」

見ないでって言ったのに。ほんとに油断もスキもあったもんじゃない。

「ええやん、少しくらい」
「よくないからぁ」
「なんでやの」
「…」

口をとがらせる愛斗に一瞬黙ってしまう私。

「だってさぁ、見られてたら恥ずかしいし…なんか緊張しちゃうじゃん…」
「なんで緊張すんの?」

そんなこと…言わなくても察してよ。ほんとに鈍感なんだから愛斗は。

「なんでって…料理そんなに上手じゃないし…しかも愛斗の家でやるなんてドキドキなんだからぁ。
家族以外の人に作るのって初めてだし、ましてや相手が愛斗だもん。おいしいの作ってあげたいって思うのに。
見られてたら余計に出来なくなっちゃうよ…」

自分で言ってて恥ずかしくなった。こんなこと言うつもりなかったのに…
きっと私の顔は今真っ赤に違いない。

「ガキさん!」

恥ずかしくて愛斗の顔が見れずにいると、不意に手を引っ張られ抱きしめられた。

748 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/24(火) 07:58:14.31 O
「なっ!ちょっとなに急に。危ないでしょうがぁ、あ、愛斗」
「ごめん。ガキさんがあまりにも可愛いからつい」
「何言って…」
「そんなこと言われてこんな表情されたら抱きしめたくもなってまうよ」
「…」

抱きしめる愛斗の力強さが、耳元から聞こえる優しい声が、かたくなっていた私の体の力をなくしていく。
愛斗の温もりを感じて速くなっていく鼓動。

数秒後、ゆっくりと体が離れたかと思うと、肩においた愛斗の手に力が入る。
ドキドキしながらも少し顔を上げると、愛斗が私をまっすぐ見ながら優しく微笑んでいた。

「大丈夫や。ガキさんの料理絶対おいしいから!」
「食べでもいないのに何でわかるの」
「わかるよ。だってガキさんの愛情がたっぷりこもってるから。俺にとっては最高のごちそうやもん。
どんなもんやってまずいわけないやろ」

そう言うとニコッと笑う愛斗。
その笑顔と言葉に、まるで魔法にでもかかったように私の中にあった緊張や不安が少しずつとけていった。

「愛斗…ありがと」
「ガキさん…」

ハニカミながら愛斗を見つめ返すと、愛斗の笑顔が真剣な表情へと変わっていく。
そして徐々に近づいてくる愛斗の顔、一気に跳ね上がる私の心臓。
なんだかのぼせてしまいそうなくらい体が熱い。

「ス、ストップ!」

あと少しで唇が触れるというところで、思わず愛斗の胸を押し返し体を離した。

749 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/24(火) 08:03:43.44 O
「なんやの」
「りょ…料理、作らないと、ほら、ねっ?」
「あ、そうか」
「あと少しでスープ出来るし」
「見ててもい…」
「ダメだから」
「あっ、やっぱり」

やっぱり恥ずかしいもん。
でも、手伝いくらいはしてもらってもいいかな。
なんてちょっぴり思えるようにはなった。

愛斗は私の気持ちを分かってくれたのか、それ以上は言わずにリビングへと戻ろうとする。
けれども途中で立ち止まり、再び私のほうを向いた。

「そうだ、デザート作ってようかな」
「あぁ!そうだね。デザート作っててよ。おいしいの作ってくれるんでしょ?楽しみだなぁ」
そうだった。忘れそうになっていたけど、愛斗がデザートを作ってくれるんだった。
自分のことでいっぱいいっぱいだった。

「そうか?よし!ほんじゃあやるか!」
「うん、頑張って」

気合いを入れる愛斗に向かってガッツポーズをしてみせると、愛斗は笑顔でうなずき

「まかしとけ!」

そう言ってガッツポーズをしかえした。


続く

| 愛斗×ガキさん | 18:46 │Comment- | Trackback-│編集

(6) 691-695

691 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/23(月) 00:02:41.86 0

「たっかはしさあぁん!!」
「ふんぎゃ!」

小春が来るであろう方向を向いて待っていたのに、
彼女はまったく思いもしなかった方向から走りこんできた

「っててて…」
ごめんなさーい!と甲高い声で言われる。
うるさい、うるさいんだけど。
これさえも可愛くて仕方ない自分はだいーぶ小春に惚れてる。

「行こか、小春」
いつもは小春から握られる手を今日は俺から繋いで、いざ入場。

デートやで、今日は。
小春が見たいって言ってた新しい水族館。
ホントに久しぶりの休みで、なんでか女の子にいっぱい誘われたけど、
今日は小春とデートしたかったから、断った。
断るのはいつもやけど、今日の理由は特別で嬉しい。



692 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/23(月) 00:03:52.22 0

別に意識してるわけじゃないんやけど。
今日、ちょっとは進展したいかなーなんて思ってる。
って言うのも、付き合う前から手繋いだり、
ぎゅって…されたりしてるから、あんまりそういうのに抵抗ないんやけどな。
その先はもう付き合って半年も経つのになんも…
やってーどうしたらええかわからんやもん!
やっぱ、中学生と高校生の付き合うって違うんかな…
俺は別に、小春といれたらそれでいい。あーウソ、やっぱ、小春が好きやから、その、その…

「愛斗さん?」
「うおお!」

今まで水槽のマンボウにおいしそうなんて言ってたのに
急に顔を覗き込まれる。近い!近いから小春!!

ふざけて押し返そうとして、動きが止まる

やっぱ小春って…綺麗な顔…


あれ?



693 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/23(月) 00:04:36.39 0

「小春、今日、なんか唇いつものよりキレイ。」

いつもより、ほんのりピンク色。
俺達が付き合い出した、あの日の満開の桜みたいな、キレイなピンク。

「そ、そんなこと!」

小春は急に焦り始めて、両手で唇を隠す。
隠し切れないほっぺたが、ピンクを通り越して真っ赤になる。

「恥ずかしがらんでも、ええやん。」
減るもんじゃなし…

何の気なしに言った言葉で、小春が俯いた。
な、なんかマズイこと言ったやろか。

「…ますよぉ…」
「小春?なんかまずかった?」

思わず屈んで、覗き込む。

ぷにゅ…

  へ?

気がついた次の瞬間には、小春の唇が、俺の唇に触れてた。


お、俺今、キスされてる?



694 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/23(月) 00:05:09.07 0

「こぉ、小春急にな…」
「減るもん!!あ、愛斗にーちゃんにそんなこと言われたら、
 なんか、ドキドキして…寿命とか、きっと減ってるもん!」

こんな大胆なことしといて、そんな可愛いこと言うか、小春。

「こ、小春やっぱり子ども?
 愛斗にーちゃんがこんなことしてこないのは、小春を妹みたいにしか
 思ってないのかと…思って。頑張って、グロスつけたらいきなり褒めるんだもん」

しんぞーおかしくなる。

さっきあんな真剣な顔で俺の唇を奪った人間と同じとは思えん。ぎゃーぎゃー騒ぐ小春。
ああ、ああもう、俺カッコつかねぇ。

「小春、黙って」

俺、お前が好き。
子どもだなんて思っとらん。むしろ、ずっと意識しっぱなしで…
こーいうの、なかなか出来んかったんは、
小春が俺のことお兄ちゃんとしか思ってないんじゃないかって不安だったから

「俺、付き合うとか、あんま慣れてないんよ。
 だから、すっげーかっこ悪いけど、ちゃんと言う。
 俺、小春とキスしたい。だから、目瞑って?」

自分以上にまっかっかな俺に微笑みかけて、小春は静かに瞼を下ろした。



695 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/23(月) 00:05:45.12 0


「わーい、わーい、わーい!!」

高橋さんとちゅーできた、わーい!!
水族館の出口まで、小春ははしゃぎ倒した。

なんか、見事にペースにはめられてる気がする。
あーでも、すっげぇ幸せ。

小春と進展したことじゃなくて、
想いが通じ合ってて、それを小春も望んでくれたことが
俺は心底嬉しかった。


「ねーねーねー高橋さん、これから学校でもちゅーしましょ?」
「ぜ、ぜってぇしねぇー!!」

| 愛斗×小春 | 20:41 │Comment- | Trackback-│編集

(6) 621-622

621 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/20(金) 21:14:59.85 0
「ガキさん」
「なに?」
「ガキさん、ガキさん」
「もぉ・・・聞こえてるってばぁ」
「里沙ちゃん」
「なっ、なによ?」


里沙ちゃん


なんて呼ばれたのはいつ以来だっけ?
てゆうかガキさんって呼ばれ始めたのはいつからだったっけ?


そういえば中学のころの担任の先生
確か岡村先生が私をそう呼び始めたからだったような気がする

岡村先生、元気かなぁ・・・

622 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/20(金) 21:15:19.66 0
「やっぱ今はガキさんでいいや」
「さっきから何言ってんのさ」
「いやっ、ガキさんが結婚したらガキさんって呼べなくなるんかなぁって」


けっ、結婚とか・・・何を言い出すんだ


「まっ、ガキさんと結婚するのはオレやけど」


ん?うん?

ちょっとぉ!!!
えへへなんて笑う愛斗が可愛いけど
何で決定しちゃってんのさ!!

てゆうかなんで顔が熱くなるんだろ・・・



「コラーとか言わんの?」
「だってぇ」
「照れとんの?なぁなぁ?」
「うるさい!」
「あっひゃー!」



愛斗の笑い声を聞きながら
いつか高橋里沙になるのかなぁ・・・なんてことを想像して
そんなことを考えてる自分がおかしくなって愛斗と一緒に私も笑った

| 愛斗×ガキさん | 20:41 │Comment- | Trackback-│編集

(6) 576-577

576 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/19(木) 07:46:39.11 0
じめじめと暑~い昼休み。
校庭にある木陰のベンチに憧れの愛斗先輩が1人で座っていた。
「愛斗先輩!こんなとこで何しとーと?」
「あっ、れーなちゃん!ここすっげぇ涼しいんだよ」
と言うと、愛斗は自分の横に乗っている砂や落ち葉を払う。
れいなは少し距離をあけて、愛斗の隣に座った。
憧れの愛斗先輩が隣にいると思うと恥ずかしくて恐縮してしまう。

「のど渇かん?」
「あっ、はいっ」
「なに飲みたい?俺はりんごジュースにしよかなぁ~。100%あるかな~?」
悩みながら立ち上がる愛斗に気付き、れいなは慌てて言った。
「れ、れーなが買ってきますよ!」
「いーよ、すぐそこやし。それより、なにがいーと?なんにすると?」
愛斗が笑顔でそう聞くと、れいなの緊張が少し和らいだ。
「愛斗先輩、発音が違いますよ~」
「おっ、やっと笑ってくれた。発音違うかぁ…福井弁なら得意なんやけどな。
 まっとりあえず何飲む?」
「愛斗先輩と同じのでいいです」
「りょーかい!じゃあ買ってくるとー。待ってるとー」
愛斗は笑いながらそう言うと走ってジュースを買いに行く。


577 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/19(木) 07:46:58.95 0
「お待たせ」
帰ってきた愛斗の手にはジュースが1本。
れいなが不思議そうな顔でジュースを見る。
「れいなちゃん俺と同じのでいいんやろ?」
と言うと愛斗は買ってきたりんごジュースと一口飲んでれいなに差し出した。
「えっ?」
れいなが戸惑っていると、愛斗は笑い出した。
「ウソ、ウソ。はい、これ」
愛斗が後ろに隠していたジュースをれいなに差し出すとタイミングよくチャイムが鳴った。
「あっ、もう戻らな。今度はれいなちゃんの博多弁聞かせてな」
手を振りながら愛斗は校舎に戻っていった。



「はぁ…あの時飲んどけばよかったっちゃ。やけん…」
れいなは赤くなった頬にジュースを当てながら教室に戻った。


| 愛斗×れいな | 21:49 │Comment- | Trackback-│編集

(6) 492-495

492 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/16(月) 17:25:20.61 0
-17年前 波浪病院 505号室-


「楽しみだねー」

お隣の高橋さんの奥さんが妊娠して、
おめでとーなんて言ってたら、うちにも…ポッ

高橋さんちとは予定日が1ヶ月違いだから、
同学年だね、なんて話し合ってる。

家も隣同士なら、産婦人科のベッドまで隣になっちゃって
なんか、運命ですね、なんて笑いあう私達。

エコー検査の結果、高橋さんちは男の子。うちは女の子みたい。

「きたでー」

高橋さんの旦那さんが来られた。
あたしはじゃあまた、なんて言ってカーテンを閉める
お2人の時間、邪魔しちゃ悪いですからね


493 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/16(月) 17:25:57.72 0


旦那さんは浮き足立っちゃって、毎日毎日お仕事後に見に来てる
「だいじょぶけー?」
なんて豪快に訛ってるんだけど、
あたしにまでお見舞いのフルーツをくれる、優しい人。

2人は最近はもっぱら、
赤ちゃんになんて名前をつけるかについて話し合ってる。

奥さんは「結」って漢字使いたかったらしいんだけど、
さすがに男の子だしな、なんて姓名判断の本をペラペラ。

あたしは2人の会話を聞きながら、
自分の子の名前を考える。
「りさ」って響きが好きだな、なんて今は思ってるんだけどね。

「それは、無理やって」
「ええやんええやん!」

2人が急に声を荒げたので、あたしは聞き耳を立てた。



494 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/16(月) 17:27:02.53 0

「愛なんて漢字変やって!」

どうやら旦那さんは、息子に「愛」という漢字を使いたいらしい
それを奥さんが止めている
うーん、確かにちょっと男の子ではあんまり聞かないよね…

「おかしいって、わかっとる。」

 でもな、オレはこの子に、愛のある、愛を振りまくような人になってほしいんや
 最近、愛のない世の中になってるからこそ、あえて愛を冠した名前にしたい

「あんたぁ…」
潤んだ声の高橋さん
あたしも不覚にも目頭が熱くなる
そんな熱い気持ちがあるなら、うん
「愛」って使ってあげても良いんじゃないかな?


「愛…なんて名前にするの?」
「うん、あいのひとって書いてあいとにするがし!」

あいと、あいとかぁ。うん、なんか可愛いし、カッコいいし
素敵な名前だなって、思った。

「あいのひと…あいと…良い名前やね」
奥さんも感動してて、どうやら本決まりらしい。
あーあ、うちもしっかり愛情のこもった名前つけてあげたい。
パパ、早く来ないかなー


495 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/16(月) 17:28:01.20 0




………ん?あいのひと?




シャーッ!
あたしは素早く、
かつ、千切れんばかりに勢いよくカーテンを引いた



「コラー!それじゃ愛人になっちゃうでしょーが!!!」






川*’ー’)<ってことで、ガキさんママがオレの名付け親やよ

( ・e・)<末恐ろしいエピソードなのだ

| その他 | 21:49 │Comment- | Trackback-│編集

(6) 410-414

410 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/14(土) 02:53:26.58 0

「なーガキさん」
「なに?」
「…ええと、あ、きれーやな、空」

今日はテスト週間であたしの部活も愛斗の応援団もお休み
こんな真昼間の道を2人で帰るなんていつぶりだろう…

愛斗のことだから、カラオケにでも誘われるかと思ったけど、
普段の遅くなった夜道よりもむしろまっすぐに家に向かっている

別に、気にしない。
なんて思ってたけど、こうまできっちり帰っていると不安になる
今日も下駄箱開けたら、バサバサーって昭和風にラブレターが落ちてきた
愛斗はそれを全部持って帰る。
アンタのスカスカのかばんはそのため?ってくらい多い。

もしかして、その中に気になる子がいるのかもしれない。
いつもより少しだけ早く、前を歩く愛斗の背中が途端に遠く見える


411 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/14(土) 02:54:29.54 0

いよいよあたしのうちの前に着いた。
隣なのに、愛斗はあたしが家の中に入るまでずっと見てる。

「じゃあ、また明日ね」
笑顔笑顔。自分でもなかなかの演技力だ。
こんな不安、明日になれば消えてなくなる。
安倍さんおススメのレコードでも聞こう。
そう思ったのに…

「ガキさん、ごめん…大事な話があるんやけど…」

そう言われて、もうサヨナラを言ったはずの愛斗に腕を掴まれた。


誰もいなかったからそのままうちの中へ
愛斗の好きないつものイチゴミルクが冷蔵庫にあって、
それを出そうとするのに、上手く掴めない。
ああ、ママごめん…もうこの習慣、なくなっちゃうかも…


412 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/14(土) 02:55:33.84 0
リビングのソファ
愛斗は真剣な顔で俯く。
綺麗な顔の眉間に走る数本の皺。
聞きたいけど、聞きたくない愛斗の言葉。
新垣家の中で時計の音だけが、元気だった。

「あの、さ…」
何かを決心したかのように、愛斗が口を開いた。

「な、なに?」
あたしはなんとか、笑う。

「オレ、オレさ…」





「ガキさんが落ちても、ずっと好きやからな!!!」




「は?」


思わず漏れてしまった、冷たい声。
落ちる堕ちる墜ちるオチル…おちるって一体何のこと?



413 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/14(土) 02:56:11.53 0
「やから、今回のテスト、もし無理で学年がちがくなっても、
 オレがぜってぇガキさんのこと一番好きやから!」

年下になんか負けえん!!
なぜか一人盛り上がる愛斗。

ん?ん?ちょっと、待って高橋くん…

「あたしが、落第するって…そういうこと?」
愛斗は涙目でこくりと頷いた。

やって、ガキさんめっちゃ可愛いんやもん。絶対絶対、今の1年がほっとくわけないがし。今だってオレめちゃめちゃ心配やのに。
でも、もしそうなってもオレ諦めたくない。ガキさんの、か、彼氏に相応しい男でい続ける。絶対絶対約束する…オレ、オレが…

エンドレスで喋り続ける愛斗。
なんか、馬鹿にされてんのにものすごく愛斗が愛しくなってしまった。

「落ちないからもー、失礼だな…」
「ほんと?」
「ホント。あたしだってやる時はやるんだから…」
じゃ、オレ対策ノート作ってくる!
違うベクトルで勢い付く愛斗。

「それに、もしそうなったとしても…あたしは愛斗が一番だよ?」

自分でもわかるくらい真っ赤になって言ったのに、
愛斗はもう、自分のノートを取り出してうんうん言い始めてた。


414 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/14(土) 02:57:19.25 0


愛斗の方がモテてモテてしょうがないのに
なんでこの子はこんなにあたしに対する気持ちが熱いんだろう。

なんて、かばんから覗くファンレターにちょっぴり優越感を持ちながら
温くなったイチゴミルクを冷えたものと取り替えた。




( ;・e・)<なんか、日本史のノートだけ厚くない?

川*’ー’)<重要やもーん。

| 愛斗×ガキさん | 21:48 │Comment- | Trackback-│編集

(6)348-351

348 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/12(木) 02:41:24.28 O
前々スレ735あたりの続き
買い物の後、私は一旦家に帰って着替えてから愛斗の家に向かった。

―ピンポーン―


「はいはーい」

家の中からバタバタとした足音と喜々とした声が聞こえきたかと思うと、ガチャッとドアが開く。

「!!」
「ん?どうしたん?」
「どうしたって…愛斗、その格好」

出てきた愛斗の姿に思わず目を丸くしてしまった。
白地にイチゴ柄のついたエプロンを付け、伸び始めた髪の毛を後ろで結んで
まるで女の子みたいな愛斗がそこにいた。
むしろそこいらの女の子よりもずっとかわいい。

「ああ、これ母さんのなんや、俺持っとらんから。やっぱ変?」
「あっ、いや、変じゃないよ!というより似合ってる…かわいい」
「かわいいって言わんでよ。あんま嬉しくないがし」
「だってほんとに可愛いんだもん」
「だからやめってー」
「はいはい。フフフ」

少しむくれてる愛斗がさらに可愛くて、ついつい笑ってしまう。
そんな私を見てさらにむくれる愛斗。

349 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/12(木) 02:43:00.44 O
「笑わんでってば」
「ごめんごめん」
「まあええけど…。とりあえず入って。一通り準備してあるから」
「あ、うん。おじゃまします」

まだ少しすねてる様子の愛斗の後について家の中に入っていく。
ここにはいつも来ているのに、今日はなんだか緊張する。
愛斗の家に来てこんなに緊張するのは久しぶりだ。

「荷物ここに置いて」
「あっ、うん」

少しソワソワしながらリビングに行くと、ソファーの上にバッグを置くように愛斗に言われた。
言われたとおり置きながら私はキッチンの方に目をやった。
そこにはさっき買った買い物袋と、鍋などの調理器具がきれいに整理されて置いてある。
いつも愛斗のお母さんが料理してる場所。
あそこで料理するんだ…そう思うとさらに緊張が増してくる。

「どうかした?」
「えっ?いや、どうもしないよ」「そう?」
「うん、なんでもない」
「そう言えばガキさんはエプロン持ってきたん?」
「あっ、そうだ。持ってきたんだった」

動揺を隠すようにして自分のバッグからエプロンを取り出す。
黄緑と白のチェックに、私の大好きなキャラクターのついたお気に入りのエプロン。
ママと料理する時にはいつもつけてるやつ。

350 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/12(木) 02:49:54.18 O
「これでよし!っと」

エプロンをつけて、自分を奮い立たせるように小さくガッツポーズをする。
そして愛斗の方を向くと、上から下までじーっと眺めて愛斗がニコニコしながら言った。

「いいね、エプロン姿。かわいい」
「何言ってんのぉ」

ほんとに愛斗ってば…
愛斗の方がよっぽどかわいいから。
なんか完全に負けてる気がしてちょっぴり悔しい。

「だって本当にかわいいんやもん」
「ちょっ、やめてよ」

笑顔でサラッと言う愛斗の言葉に思わず顔が赤くなってしまう私
そんな私をニヤニヤしながら愛斗が指さして笑った。

351 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/12(木) 02:51:02.96 O
「ガキさん照れてるー」
「て、照れてないからぁ~」
「アヒャー!かわいいなぁ、ガキさん」
「だからやめてって言ってるでしょうがぁ」
「アヒャヒャ」

ムッカー!ピキピキィ!
人の反応見て面白がっちゃって。
余裕ぶってる愛斗がなんか・・ムカつく…。
なんで私こんなにいっぱいいっぱいになってるんだろう。
ほんとにいつも私ばっかり…悔しい。

「もう笑わないでよぉ」
「ガキさん顔真っ赤やよ」
「もういいからぁ!早く始めるよ!」

恥ずかしさをごまかすように愛斗から目をそらした私は、そのままスタスタとキッチンへと向かった。

「あっ、ちょっと待ってってば。ガキさん!」

そんな私の後ろを慌てた様子で愛斗が追いかけてきていた。


続く

| 愛斗×ガキさん | 21:20 │Comment- | Trackback-│編集

(6) 326-331

326 名前:名無し募集中。。。[sage] 投稿日:2008/06/11(水) 19:42:16.28 0
「なぁ、ガキさん。ハワイって行った事ある?」
夏休みも直前に迫った放課後。
いつものように愛斗の部屋でくつろいでいると愛斗が突然聞いてきた。
「あるけど?なにぃ?突然」
「いやぁ…やっぱ新婚旅行はハワイがいいかなって」
「ちょっ!気ぃ早くな~い?」
「いやっ、俺は今すぐにでも…」
「じゃあ愛斗が海で泳げるようになったらね」
「うっ…」
愛斗は痛い所をつかれたと一瞬俯いたかと思うと笑顔で顔を上げ、目を輝かせて言った。
「じゃあ、練習のためにも夏休み一緒にプール行こっ」
「海じゃなくて?」
「ま…まずはプールから…」
「あははっ。いーよぉー」

家に帰った里沙は後悔していた。
少し顔を赤らめた愛斗がかわいくて、何も考えずに返事をしちゃったけど、

「水着どーしよ…」


327 名前:名無し募集中。。。[sage] 投稿日:2008/06/11(水) 19:42:31.26 0
次の日の昼休み。
「ねぇ、カメ、さゆ」
ノノ*^ー^)从*・ 。.・)『なんですかー?』
「もしも、もしもだよ?彼氏とプール行くならどんな水着着て行く?」
从*・ 。.・)『あっ、新垣さん愛斗先輩とプール行くんですか?』
「ちがっ…」
ノノ*^ー^)从*・ 。.・)『……』
「わないけど…」
ノノ*^ー^)『あぁー。やっぱりそうなんですね?』
从*・ 。.・)『じゃあ今日の帰りにでも見に行きましょーよ。さゆみ達がかっわいいの選んであげますよ』
「ほんとに?」
ノノ*^ー^)从*・ 。.・)『はいっ』
「わかった。じゃあ今日の放課後ね」


ノノ*^ー^)『ガキさんは元気なイメージがあるから黄色ですよ?』
从*・ 。.・)『彼氏と行くならビキニがいいと思うの』
ってな事で選んでもらった水着は黄色のビキニ。


328 名前:名無し募集中。。。[sage] 投稿日:2008/06/11(水) 19:42:48.68 0
終業式の日。
愛斗と里沙は成績表を見せ合いながら楽しく下校していた。
日も暮れ、里沙の家の前に着いた時愛斗が言った。
「そーいやガキさん、プール行く約束覚えてる?」
「うん。いつ行くの?」
「えっ!?もちろん、俺が海で泳げるようになるまで毎日って約束やん」
「そんな約束してませんけど~」
「だって毎日会いたいし」
「別に毎日プール行かなくたっていいじゃん。遊園地とかも行きたいしさ」
「だってプールの方が…」
「なに?」
「…いや」
「もぉー。取り敢えず1回目はいつ行くよ?」
「明日っ」
「わかった。明日ね」
「うん。じゃあ明日ガキさんちに迎えに来るから」
「はぁーい。じゃあまた明日ね」
里沙はドキドキしながら明日の準備を済ませベッドに入った。

329 名前:名無し募集中。。。[sage] 投稿日:2008/06/11(水) 19:43:34.32 0
次の日。
ピンポーン。
「あっ、愛斗かな?」
里沙は準備を整えて玄関を出た。
「お待たせ」
「よしっ、行くかっ!」
プールまでの道のりを愛斗と共に歩く。
「なぁガキさん。今日どんな水着着んの?」
「えぇ~。秘密かな~」
「それは期待してていいってこと?」
「なんかそー言われると…」
「じゃ、すっごい期待しとく」
「バカ」



330 名前:名無し募集中。。。[sage] 投稿日:2008/06/11(水) 19:44:14.58 0
プールに着いて待ち合わせ場所を決めた後、明らかにウキウキして今にも転んでしまいそうな
愛斗の後姿を見ながら里沙も着替えに行く。
「あぁー…恥ずかしいなぁ…」
黄色のビキニに着替えた里沙は待ち合わせ場所できょろきょろ周りを見てる愛斗が目に入り、
笑ってしまう。
そして愛斗と目が合った瞬間、
「ガぁキさーん」
と両手で手を振られた。
「ちょっとっ」
水着よりこっちの方が恥ずかしいよと思いながら、愛斗に駆け寄った。
「そんな大きい声で呼ばないでよ」
「だって…。そんなことよりガキさん」
「なに?」
「やっばい。めっちゃかわいい」
「本当に?ありがとう」
里沙はテレながら言った。
「テレてるガキさんも更にかわいい」
「…もうわかったから早く行こうよ」
嬉しさより恥ずかしさが勝ってしまった里沙は、愛斗の手を引っ張って
泳ぐ練習ができそうなプールへ向かった。
「ちょっ、ガキさんどこ行くん?一緒にウォータースライダー行こ」
「なんでよ。泳ぐ練習しに来たんでしょ?」
「俺、足がつくってわかったら全然泳げるから」
「えっ!?じゃープールじゃ意味ないんじゃん」
「へへへ。ごめん。だからウォータースライダー行こ」
「コラー」


331 名前:名無し募集中。。。[sage] 投稿日:2008/06/11(水) 19:44:30.51 0
愛斗は里沙の手を引っ張りウォータースライダーの列に並ぶ。
里沙も順番が近づくと怒りよりも、ウォータースライダーが怖い様で
愛斗の腕に少しすねた表情で抱きついていた。
「なぁ、ガキさん。俺やっぱ毎日来たい」
「泳げるんだったら来なくていいじゃん」
「だってこんなかわいいガキさん毎日見たいもん」
「褒めたって許さないもーん」
と言いつつ嬉しそうな顔をしているのが愛斗にでもわかった。
愛斗は里沙のおでこにキスをし、真っ赤になっている耳元で囁いた。
「俺の為にわざわざ新しい水着買いに行ってくれたんやろ?すごい似合ってるよ」
「………えぇーっ!!なんで知ってんの!?」
里沙は慌てて愛斗の顔を見る。
「亀井さんと道重さんが言ってた」

ノノ*^ー^)从*・ 。.・)『ウヘヘなの』

「はぁ……」
里沙は大きくため息をついた。
「えっ!?俺はすっげー嬉しかったよ?」
「……」
怒って少し尖った唇に愛斗はキスをした。
「…バカ」
そういって今度は里沙から愛斗にキスをした。


ノノ*^ー^)『ラブラブしてますよ?』
从*・ 。.・)『こんな所で…なの』
ノノ*^ー^)『明日ガキさん誘って遊びます?』
从*・ 。.・)『多分明日は誘っても来ないと思うの』


| 愛斗×ガキさん | 21:18 │Comment- | Trackback-│編集

(6) 310-314

310 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/11(水) 12:27:50.65 0
 
 
いつだってさゆみの方が想ってるんですね。
朝起きてから夜寝るまで。…ううん、夢の中だって絶対に想ってる。
愛斗先輩のこと考えない時なんて、さゆみにはないの。


でもね。

きっと愛斗先輩は違う。


だからさゆみ、自分ばっかり好きみたいで少し悔しいの。
知られたくないなぁ…こんなに想ってること。
 
 

311 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/11(水) 12:28:20.70 0
 
愛斗先輩と並んで歩く帰り道。
なんだかそれだけで胸がドキドキしちゃうの。
いつも通ってる道じゃないみたい。
歩き方変じゃないかな。前髪とか大丈夫かな。
顔が赤くなってないかな。

「さゆ」
「はい?」
「…手、繋ごっか」

愛斗先輩の手が、さゆみに触れてしっかりと握られる。
ぎこちなく見えてないよね。ドキドキしてるの、バレてないよね。
…あぁでも、顔が緩むのは止められないかも。
やだなぁ。嬉しいのがバレちゃうじゃない。

「どーしたの?」
「え?」
「さっきから、ずっと下向いてる」
 

312 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/11(水) 12:28:50.95 0
 
そんな風に覗き込まないで。
さゆみの気持ちが全部伝わっちゃう。そんなの絶対ダメ。
内緒にしておきたいの。今はまだ。

「もうすぐテストなんで憂鬱なんです」
「そっかぁ。テストかー」
「すっごい範囲が広いんですよ」

まだ気付かれたくないんだもん。
もっとさゆみのこと好きになってくれなきゃ、言わないの。
愛斗先輩の気持ちが、さゆみより小さかったらダメなの。

「俺、教えようか?」
「愛斗先輩が?」
「うん。さゆよりは出来ると思うんだけどなー」
「ほんとですか?そんな風に見えなーい」
「ひっでー」

そしたら会える時間もっと増えるかな。
どうしよう、さゆみ勉強どころじゃなさそう。
緊張しちゃって何一つ覚えられないかも。
 

313 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/11(水) 12:29:25.82 0
 
「じゃ、明日から図書室で勉強だな」
「はい。お願いします」
「ん。赤点取らないように頑張んないとね」

そういって愛斗先輩は繋いでた手を離す。
いつもの別れ道。毎回思う寂しい気持ちに、慣れることなんてないの。
あぁもう。時間が止まればいいのに。
もっと一緒にいたいって、思わず言っちゃいそうになる。

「さゆ」
「…なんですか?」
「キス、してもいいかな」
「え…」

返事を待たずに、愛斗先輩の唇がさゆみに重なる。
だけどそれはすぐに離れて、そのまま緩く抱き締められた。
嬉しいはずなのに、なんか物足りない。

「もぉ。ズルイですよ愛斗先輩」
「え?な、なにが?」
「いきなりキスするんだもん…」
「ご、ごめん…」
「謝るだけじゃぁ、さゆみ許せないですね」
「…じゃどーしたら許してくれる?」
「もう一回キスしてくれたら、許します」
「…ん」

そういうと、再び愛斗先輩の顔が近づいてくる。
さゆみは目を閉じて先輩のそれが触れるのを待つ。
 

314 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/11(水) 12:29:42.70 0
 
ほんとにズルイのはさゆみの方なの。
なんで素直にして欲しいって言えないんだろう。
鏡のなかの自分には何でも言えるはずなのに。


好き。大好き。
ううん、愛してる。

さゆみの気持ちの方が、絶対に愛斗先輩より上なの。
悔しいけど、上なの。
だけど教えてあげない。だって悔しいんだもん。


―おしまい―

| 愛斗×さゆ | 21:17 │Comment- | Trackback-│編集

(6) 150-158

150 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/09(月) 06:02:13.44 0

「ホントに、しなきゃダメですか?
 オレ…こんなの初めてだし…上手くできないよぉ…」

おいおいぼっちゃん、そんな目で見るお前がわるいんだYO
何目じりに涙溜めてんだ!?

くっそーいちいちツボだ!

「誰にでも初めてはある。恥ずかしがるなよ。さぁ…」

震える肩に手を伸ばしかけた、その時、乱暴にドアが開かれた

「はい、よっちゃん付き添いありがとう。帰っていいから。」

そう言われて伸びてきた手に愛斗を奪われると
ぴしゃりとドアを閉められた。
俺と愛斗を引き離した憎い扉には、この集団の名前が刻まれている。

【演劇部】

ふっ…愛斗。
せいぜい背後には気をつけることだ。
あ、そういう意味じゃないぞ



151 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/09(月) 06:02:36.99 0

「どうしても一人部員が足りない。」
演劇部副部長藤本美貴にそう言われて、断るに断れなかった人探し。
まぁ、俺のケータイメモリーにはハニーたち目白押しよ?
でも、一人だけ贔屓するみたいだしな…
そう思ってた俺の目の前を通ったのが、天然女泣かせの高橋愛斗。

足りない役って、男のフリをする姫さんだろ?
なら逆に演じる方が姫さんのフリする男でも良いじゃん。
なんとなしに美貴に提案したら、
部長のまつーらあややでーすも賛成してくれた。

で、さっきのブツの引渡し。良かった、一仕事おーえぴっ。
ふるふるFUNタでも飲もうと思ってたらまた厄介なのが現れた
「よしざーさん!愛斗をどこにやったんですか!?」

キタキタ。高橋里沙じゃなく新垣里沙。
ちょっと俺がこないだカレピのお尻を触ったの見たばかりに
俺と愛斗がつるむ度にこうやっておいでます。
俺だって遊びと本気は分けてるよ?遊びじゃキスしない。

「あーガキさん、愛斗の奴な、ちょっとだけ演劇部に貸してやってくれ。」
「えんげきぶぅぅぅぅ!?」
でた伝家の宝刀。相変わらず良いリアクションしてるよね。
ガキさんのそういうとこ伸ばしていこう!


152 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/09(月) 06:03:08.09 0

「そういうことなら…そもそも、私だけのものじゃ、ないですし…」
先ほどとは一転なんだか顔を真っ赤にしてしおらしいガキさん。
なんだー照れてんのか?そうだな、じゃあ今日は寂しい者同士肌を温め…

ばこん!がっ!
二つの衝撃。ダブルインパクト。
一つは見慣れたミキティの鞄。投げたな、あいつ。
もう一つは鞄でよろけてガキさんに抱きつきかけた俺を突き飛ばした、こいつ。

「よしざーさんふざけ過ぎやぁ!!」
ちっちゃな闘犬がこれまたちっちゃな姫君を守るために呻っている。
おうおう、萌えるね、この図。

それから始まった、美貴の説教を右に左に切り刻みながら
二人の会話をこっそり観賞。

「ガキさん、大丈夫やったー?」
「愛斗!むしろ、こっちが心配してたんだから」
「え?なんで?」

俺のアピールはまだ愛斗に届いてないらしい。しめしめ

「んん、もういいよ。それより愛斗、演劇部の助っ人、ホントにするの?」
(アンタ、舞台とか大丈夫なの?噛み噛みなのに…)
俺には見えるぞ、ガキさんの本心。


153 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/09(月) 06:03:33.30 0

「なんていうんだろ…ずっと女装してなあかんくってな
 …オレそこはちょっと、アレなんやけど」
「ガキさーん、愛斗超演技上手いよ」
「え!?そうなの、愛斗?」
二人の会話に割り込む美貴。スゴイな。あのラブラブの中に入れるなんて。
あれ?今ミキティさん、俺のこと怒ってたんじゃないの?

「なんかーホントなんていうんだろう!すんげー楽しくってさ!」

身振り手振り、言葉の数ほど伝わらない内容を一生懸命彼女に伝える愛斗くん。
そんな愛斗を菩薩のような微笑で時につっこみ、時に頷く里沙ちゃん。


「でもさ、なんての…ガキさんいやじゃね?
 彼氏が…文化祭で女装するなんて…オレ目立っちゃうし…」

タッハー、愛斗くん。キミ息するだけで目立つから。
鏡見なさい。いつか攫われます。襲います。
しかもどんだけガキさん好きなんだ!このバカっ!

「ううん、やじゃないよ。どんな愛斗だってカッコいいし…
 愛斗がしたいって思うことなら真正面から、アタシ応援するよ」

奥さん!言い切りましたよ!
もう全吉澤が泣いたね!
行けよもう行っちまえよ!どこでも良いよ、早く行け!


154 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/09(月) 06:03:53.00 0

そう念じてたら、突然ミキティが俺の首を掴まえて校舎に戻り始めた。
な、なんだよ、俺がどっかに行けってか!?

なんか悔しくてキャワップルの方を向きなおした。
そんで、まだ残るーって言いかけた口を慌ててチャック

「…オイ、美貴離せ」
「やーよ。よっちゃんまたあの子達の邪魔するでしょ?」
「いや、自分で校舎戻るよ。歩きにくいから、な」

戻れるかよ。
いくらもうみんな帰った夕暮れの放課後とは言え、
大胆にも二人の影が一つになってるのを見たら、
戻れないだろ。


なんという絶景…
二人ともどうしようもなく絵になってる…

くっそー。
キスまでとは言え、なかなか大胆だぞ、高橋愛斗!



155 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/09(月) 06:04:12.27 0

文化祭に向け、愛斗は頑張って練習した。
もともと真面目に服着せて脱がしたら愛斗だったような男だからな。
演じる喜びを肌で感じたらしくて廊下での盗み聞きが毎回楽しみになった。

まさか助っ人に主役張らせるとは思わなかったが、
愛斗の登場に脚本家が興奮して台本書き換えたらしい。

そして俺は寂しいガキさんのお相手もして…
や、毎時間写メールで愛斗に居場所報告しないといけなかったんだけど
練習で見れないくせにな。お前はカイヤか、愛斗。


そんなこんなあって、遂に本番。

出てきちゃったのは応援団長じゃなかったね。モノホンの姫さまだったよ。
写メ禁止、そのお達しも忘れて撮ってしまう程、
姫愛斗は綺麗だった。

演技だってそうさ。
最初は噛むぞ噛むぞって楽しみにしてたのに
迫真の演技に、いつの間にか、皆、舞台に集中してた。



156 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/09(月) 06:05:36.00 0


物語もクライマックス…いよいよ問題のシーン。

王女サッファイアを王子のキッスで目覚めさせるシーンだ!
ガキさんの心中穏やかじゃないだろう!これで二人がこじれたらどうしようか。
心配だか、それはそれで俺嬉しい。
う、嘘だから!2人を応援してるから!

―倒れ込む姫を抱え込み口付けをする王子―

もちろん唇はついてないんだろうが、
観客一同、これでもかと言うほど静かになる。


松浦王子のキスで目覚めた愛斗のなんと美しいことか。
もうお前高橋愛にしちゃえよ!なんかその名前しっくりくるよ!

「結婚して下さい」

大きな拍手。
観客はスタンディングオベーションだ。

たかだか高校の文化祭のクセに。
…でも始めたの俺。




157 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/09(月) 06:06:20.22 0

「ガキさぁん!」

メイクも衣装もそのまんまの愛斗と楽屋代わりの理科室でご対面
うわ、まじやべーなんだこの肌のきめ細やかさ…
あらぬ妄想を振り払い、
俺は愛斗とガキさんが和やかに会話できるように努める…はずだった。

「愛斗!!!」
急に声を荒げたガキさんを見て
怒りでおかしくなったのかと不安になってたらわんわん泣き出した。
途切れ途切れの言葉を繋ぐに、
どうやら何も言えないくらい感動したらしい。

「もう、もうもうなんでそんなにかっこいいのよ」
泣きじゃくるガキさんを抱きしめて、背中をとんとんしてる愛斗
これを読んでくださってるお前ら忘れんなよ。
愛斗、今姫の格好してっからな。なんか、良いよね…こういうのも。

一通り泣きじゃくったガキさんの耳に愛斗が声を注いだ
「…ん。なんか、ガキさんが応援してくれたから、頑張れた。ありがと」

はー!歯が浮くわ!!
それと愛斗、何お前貰い泣きしてんだみっともねぇ!
あれ、おっかしいな、俺の視界も歪んでるな…


158 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/09(月) 06:06:40.63 0

美貴に静かに肩をつつかれて部屋を後にする。
ここはあれだ、姫の格好する愛斗専用の控え室だったしな、幸い誰もいない

「おい、愛斗、なんかすんならちゃんと鍵かけろよ」

なんて言いながらお邪魔虫の退散を伝える。
美貴爆笑。おい、この部屋出るまでは我慢しろよ。


「し、しませんからぁぁ!!」
「せぇえんよ!」

かなり遅れて叫んだ二人の声ににやけながら、俺は外から鍵をかけ、
窓から内側にパスしておいた。

だってさ、あんなに幸せそうな二人に俺たち以外の邪魔が入るなんて癪だもんな。


ミキティにそう言うと

「たまにはいいことすんのね。」
なんてかわいげの無いことを言われた。
んんとにね。可愛い後輩を持つと苦労するよ。っははは…。はぁ…

| その他 | 17:40 │Comment- | Trackback-│編集

(6) 60-62

60 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/08(日) 18:52:12.93 O

 よーい・・・パンッ!

「頑張れー」
「ファイトー」

梅雨空の続く中、年に一度のあの日がやって来た
「暑いんですけど~」
「なんで今日に限って晴れるわけ~」
「絵里の日頃の行いが悪いと思うの」
そう今日は体育祭
競技の合間にいつもの3人でおしゃべり
「それよりガキさん行かなくていいの?アナウンス」
「ちょっ、それを早く言ってよー」
「「いってらっしゃ~い」」
ガキさんはしゃべり方を認めれたのか放送部でもないのアナウンスをするよう先生に言われていました
「能力があるのも考えようなの」
「でもさ、テントの中って影で涼しそうだよね」
「でも、先生達がいるの」
なんて1人がいなくなってもおしゃべりは続いて
あっという間に午前の部は終わりお昼休憩になりました

61 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/08(日) 18:53:08.71 O
「ガキさん遅いねぇ、お弁当一緒に食べる約束したのに」
「先に食べちゃっていいと思うの」
「ダメだよ~ガキさん待たないと」
「だってお腹空いた・・・「ガキさんいる?」
「「えっ」」
2人して振り返ると愛斗くんが立っていました
「「えっと、その、ほほ放送にっ!」」
2人で何故かハモってしまいます
「そっかぁ・・・」
「どうかされたんですか?愛斗先輩」
「いや~弁当忘れちゃって、それでガキさんに分けて貰おうかと」
「それならあたしの分あげますよ!一緒に食べましょ!ねっ絵里」
「うん!あたしの分も」
いつもは食べ物のことになると絶対他人に譲らない道重さんも愛斗が困っているとなると違います
「えっいいの?!」
「はいっ!ガキさんもその内帰ってきますし」
「じゃぁ遠慮なく」

62 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/08(日) 18:53:24.87 O
「愛斗先輩、あ~ん」
「あっ絵里ずるーい、先輩あーん」
ハーレム状態の愛斗くん
タコさんウインナーやら甘いたまご焼きやら次から次へと何故か角煮やケーキまで
育ち盛りの愛斗くん、2人分のお弁当をペロッと食べちゃいました
「あー食べた食べた、満腹満腹」
「そう言ってもらえて嬉しいです」
「よかったのあんなに一杯食べちゃって?」
「はい!全然!」
「さぁ昼からも頑張るかぁ!応援団長見てくれよな」
「「はい!」」
「ガキさんにもよろしく、んじゃ」
愛斗くんは爽やかに走っていきました
それと入れ替わりにガキさんが帰ってきます
「疲れた疲れた。あれ?どうかしたの?」
「なんでもないよ、ね?」
「うん、ないない」
「あっそう」
「それより~」
「ガキさ~ん」
「ん?」
「「お弁当ちょーだい!」」


      おわりっぽい

| その他 | 19:39 │Comment- | Trackback-│編集

(4) 961-963

961 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/05(木) 22:46:59.91 O
「あーもうっ、鬱陶しい」


雨ってなんか嫌。
せっかくセットした髪も崩れちゃうし濡れちゃうからかわいい服も着れないし
でもいちばん嫌なのは傘をささなきゃいけないこと

なんでって?

好きな人と一緒に歩く時、ちょっと遠くなっちゃうじゃん

「ていうかー、今日デートなんですけどー」

空に文句言っても仕方ないか・・・

「あっ、もう時間無いじゃん!」

気付くと約束の時間を少し過ぎていた

―――――ピンポーン

「ガキさーん、まだー?」

「えぇっ!?ちょっ愛斗!?」

どうやら愛斗が待ちくたびれて家まで来ちゃったみたい
その声を聞いて急いで用意ををして階段を降りた


963 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/05(木) 22:50:19.17 O
「ごめん!愛斗」
「ガキさん遅いって」
「だってぇ、お化粧とかぉセットとかぁ・・・」
「いつもあんま変わんないじゃん」
「ちょっとそれ酷くない?」「いつも可愛いってことだろ」
「えっ・・・」
「そんなことより早く行くぞ」
「・・・あ、うん!」
ふと、愛斗の持ってる傘を見てさっきの嫌な気分が戻って来た
あーぁ、傘かぁと、思っていると突然愛斗に手を引かれた

「ちょっ待って、まだ傘持って・・・」
「これでいいだろ」

愛斗と密着した状態で一つの傘の中に収まった

「愛斗ぉ!?」
「なんか問題ある?」
「・・・無いかも」
「ならよし、行くぞ」




       雨、嫌いじゃないかも



        おわりっぽい

| 愛斗×ガキさん | 19:37 │Comment- | Trackback-│編集

(4) 900-906

900 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/04(水) 22:29:11.32 0

「ガキさんってさ、ひょっとして魔法使えるんじゃねーの?」
「はいぃ?」

学校帰り。
まるでそれが決め事みたいに里沙は毎日愛斗の家に寄る。
別にそれが当然と思ってるわけじゃないけれど、
愛斗と過ごす時間は少しでも多くしたいから。

愛斗のほうもそう思ってくれているようで、
今日もいつものように快く里沙を部屋へと迎え入れてくれる。

他愛のない会話をしたあとでちょっとだけ長めのキスをして、
余韻を楽しむようにゆっくりと唇が離れたあと、不意に愛斗がそう言った。

間の抜けた返事をした里沙だったが、
自分の意見が突拍子のないものだと気付いていないのか、
愛斗は返す言葉を見つけられない里沙の顔をまじまじと見つめる。

901 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/04(水) 22:29:30.80 0

「…いきなりなんなの?」

言葉は突拍子のないものだったが、
里沙を見つめる愛斗の目はひどく真剣で、からかってるワケではなさそうだ。

しかし、愛斗の真意がわからない里沙は、
眉根を寄せながら少し非難するように愛斗を見上げた。

「だってオレ、ガキさんのこと毎日好きになるんだぜ?
 一昨日より昨日、昨日より今日、毎日毎日、ガキさんのこと好きになる。
 それってガキさんがオレに魔法かけてるからじゃねーの?」

これ以上ないというくらい真面目な顔で里沙を見つめて力説する愛斗。

その口調から、その表情から、決して適当に思いついて言ったんじゃないことは伝わる。
けれどあまりにも非現実的なその主張には、里沙もあんぐりと口をあけてしまった。

902 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/04(水) 22:29:50.71 0

半ば茫然としながら愛斗を見つめていた里沙だったが、
愛斗の主張とその真剣な眼差しとのギャップにだんだんと笑いが込み上げてくる。

笑っては悪いと思ってガマンをしてみたが、
さすがに堪えきれず、自分を見つめる愛斗から顔を背けて豪快に吹きだしてしまった。

「なっ、なんで笑うんだよっ」
「だ、だってぇ…」

説明しようにもおかしさのほうが先立ってうまく声が出ない。
愛斗が可愛くて仕方なかった。

「…なんだよ、もう。そんなに笑うことないじゃん」

声もなく肩を震わせて笑っている里沙にさすがに愛斗もムッとしたのか、
里沙から少し離れると、ぷいっと拗ねるように背中を向けてしまった。

そうされてもしばらく笑いがおさまらなかった里沙だったが、ひとしきり笑うと落ち着いてきた。

903 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/04(水) 22:30:04.12 0

笑いすぎで零れてしまった目尻の涙を拭いながら、
背中を向けてしまった愛斗の肩にうしろからそっと手を置く。

「ごめんごめん」
「…その言い方は悪いと思ってない」

まるで駄々っ子のように唇のカタチをへの字にしてますます里沙から顔を背ける。

そんな態度がまた可愛くて愛しくて。
里沙が口元をゆるめながら愛斗の頬に唇を押し付けると、
唇の感触を感じた愛斗の肩が少しだけ揺れた。

里沙にキスされた頬にそっと手をやって、ゆっくり顔だけで振り向く。
思ったとおりの反応に、里沙は嬉しくなって背中から愛斗に抱きついた。

904 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/04(水) 22:30:32.13 0

「…うん、あたし、魔法使えるかも」
「マジでっ?」
「でも、それならきっと愛斗だって魔法使えるよ?」
「オレも?」

まさか、と言いたそうにカラダを揺らした愛斗に気付き、里沙はゆっくり離れる。
里沙が離れたことで、愛斗はカラダごと里沙に向き直った。

「だって、あたしも毎日、愛斗のこと好きになるもん」

里沙が笑いながら言うと、愛斗の大きな目が見開かれた。
それから少しずつ、愛斗の顔が赤くなっていく。

「たぶん、あたしが魔法を使えるのは愛斗にだけで、
 愛斗が魔法使えるのもあたしにだけだと思うよ?」

里沙の言葉を噛み砕いたらしい愛斗がテレたように俯く。
俯かれたことで近くなった額に、里沙はそっと唇を押し付ける。

と、いきなり愛斗が里沙の腰に腕をまわして引き寄せるように抱きついてきた。

「わっ」

驚きでバランスを崩しそうになったが、そこは愛斗の腕力が支えた。

「…もう、危ないなー」
「ごめん」

謝るわりに腕のチカラは強い。

905 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/04(水) 22:32:09.17 0

「なあ、オレの魔法って、どれくらい効くの?」
「え?」
「いつまで、ガキさんはオレの魔法にかかってる?」

里沙に抱きついた愛斗の頭は里沙の胸元にあるので、
抱きしめられる、というより、里沙が愛斗を抱きしめている態勢だ。
そのせいで愛斗の顔は見えない。
しかし、声色でその表情は想像がつく。

906 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/04(水) 22:32:22.20 0

「んー、そうだなー、たぶん、あたしの魔法が切れるまでかな?」
「いつ切れる?」
「どうだろ? 愛斗がずっとあたしのそばにいてくれたら切れないと思うな」
「オレが?」
「うん、愛斗が」
「ずっとガキさんのそばにいたら?」
「うん、ずっとあたしのそばにいてくれたら」

そこで愛斗は黙り込んだ。
しかしすぐに、里沙を抱きしめる腕のチカラを強くする。

「じゃあオレ、ずっとガキさんのそばにいる。ガキさんに魔法かけとく。
 だから、ガキさんもずっとオレに魔法かけといてよ」

愛斗の声がまた里沙に魔法をかける。

「いいよ、ずっとね」

里沙が答えると愛斗がゆっくりと頭を上げて里沙を見つめた。
その目の訴えることに気付いた里沙は、
込み上げてくる愛斗への気持ちを乗せるようにして、そっと愛斗に自分の唇を重ねた。





おわれ

| 愛斗×ガキさん | 21:05 │Comment- | Trackback-│編集

(4) 756-762

756 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/02(月) 18:46:08.85 0
愛斗の日課であるランニング。
背が低い愛斗はそれを気にしていて夕食後のランニングはかかさない。


お気に入りのコースは街外れの公園の中を突っ切るコース。
走る時間は夜遅いけど、気候が暑くなってくると、やっぱり緑の多いコースが走ってて楽なわけで、
愛斗はその日も気持ちよく公園の中を走っていた。




「あの…」


愛斗が思わず声をかけた相手。
人気のない午後10時の公園でブランコに一人女の人が座ってうつむいてたら気になるやん。
愛斗は一つため息をついた。
酔っ払ってるかもしれんけど、ほってはおけん。
正義感の強い愛斗は意を決してブランコへ歩み寄っていった。




「おせっかいやったらごめんなさい。どうかしましたか?」
「ほっといて…」


聞こえてきた声は涙声。
余計に放っておけなくなった愛斗がなかなか離れられずにいると、その女が立ち上がった。




757 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/02(月) 18:47:30.92 0
酔いのせいかよろける女を愛斗は思わず駆け寄る。
愛斗より背が高い彼女。だけど一応愛斗は男だ。
ちゃんと転ばないように抱きとめた。


「…大丈夫?」


顔を覗き込む。


『目が大きくて、きれいな人や…』


愛斗は胸の真ん中を鷲掴みにされた気がした。




「酔ってるの?」
「…関係ない…」
「そうやな。でも、まっすぐ歩けてないし、そこのベンチに座ろう」


返事を聞かず自分より5cmほど背の高い彼女を愛斗はベンチまで連れて行く。

「ちょっとまっとって」
「え?」
「動いちゃあかんで?」
「……」
「絶対ここにいて。約束やで」

758 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/02(月) 18:47:55.54 0
返事は聞かずにダッシュで自販機へ。
ミネラルウォーターを片手にベンチへ取って返す。


たった3分ほどのはず。
なのに、愛斗の目に飛び込んできたのは悪そうな男に囲まれている彼女。


『なんや、このドラマみたいな展開…』


声かけられて、睨み付けて、
それが相手の癇に障って…。
ベタな展開が愛斗の前で繰り広げられている。
相手は3人。
ちびな自分が敵う気はしない。
だけど、行くしかないやろ。
愛斗は自分に気合を入れる。



「なにやってんだ!」


叫ぶ愛斗に男たちが振り返る。


『ひるむな、俺』


愛斗はごくりと生唾を飲む。

759 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/02(月) 18:48:26.43 0
「なんだ?このチビ」
「俺の女に手出すなや」
「ちびな上に訛ってるよこいつ」




結果は火を見るより明らかだった。
タイマンならまだしも、3人相手に勝てなんかしない。
男たちは愛斗をさんざん殴って満足したのか、そのうちどっかに行ってしまった。



「大丈夫?」

地べたに寝っ転がる愛斗を覗き込む彼女。

「あ…これ…」

殴られてすっ飛んだペットボトルを拾って彼女に。

「馬鹿…」
「酔ってるんやろ?」
「もう醒めたよ…あんたが殴られてるの見てたら醒めた」

彼女が俺の頬にそっと触れた。


760 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/02(月) 18:49:33.01 0
「可愛い顔してるのに…ごめんね?」

『また、かわいいって…。俺、男やのに…』

愛斗には可愛いって言葉は褒め言葉に思えなかった。

『でも、女の子一人すら守れん俺だから、きっとかっこいいなんて思ってもらえんのやろ…』

「かっこわるいよね、俺…」
「そんなことないよ?」
「こんなフクロにされて…。かっこわりぃ…」

次の瞬間、愛斗はふわっといい匂いに包まれた。

「ありがとう」
「俺、何もしてえんざ」
「助けてくれたじゃん、あたしの気持ち」
「気持ち?」
「うん…。ありがとね」

愛斗には彼女に何があったのかはわからない。
だけど、彼女は酔っ払って泣いてた。

「あんたの一生懸命さ、伝わったよ」
「ダサかったやろ?」
「ううん。ヒーローみたいだったよ」

愛斗はずっと彼女の腕に包まれて話していた。

761 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/02(月) 18:49:59.78 0
本当は包み込んであげたかった。
だけどチビだから…。
そう思うと愛斗は悔しかった。

「俺、牛乳飲むから」
「え?」
「あなたより大きくなりたい」
「あたしより大きく?」
「うん。ちゃんと守れるように…ちゃんとあなたを包み込めるように」

口から次々に出てくる言葉に愛斗は自分で驚く。
話し続けてないと、彼女がどこかに行ってしまう。
そんな一心で愛斗は言葉を紡いでいた。

「血が出てるよ?」
「え?」
「見せて?」

どこの傷やろ。
考えてたら、彼女の顔が段々と近付いて…。



グロスのついた唇とキスしたのはこれが初めてだ。



762 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/02(月) 18:50:33.45 0
「今度お礼させて?」
「お礼?」
「そう。助けてくれたお礼」


また会えるんや。
愛斗にとって何よりも効き目のある傷薬だった。


「俺、高橋愛斗っていいます」
「あたしは吉澤ひとみ」


初めての、年上の女性との恋のはじまりだった。




おわれ

| 愛斗×吉澤 | 21:04 │Comment- | Trackback-│編集

(4) 732-735

732 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/02(月) 03:31:46.96 O
>>464-466の続き

学校を出た私たちは家の近くのスーパーへと向かった。
店内は私たちと同じように、夕食の買い物をしにきた人たちで賑わっていた。

「なに買えばええの?」
「えっと卵と…」
「あっ、卵は家にあるの使ってええよ。あとケチャップとか調味料も」
「あっ、ありがとう。じゃあタマネギとお肉と、バターにチーズ…」

材料をいいながら私はふと思った。
オムライスだけじゃ物足りないかな?
なんか他にもあったほうがいいよね。どうしようかなぁ。

そんなことを考えて、結局もう一品作ることに決めた。

「オムライスだけじゃあれだからスープも作ろうかな」

「スープも作ってくれんの?」

私の言葉に、愛斗がのぞき込むように顔を近づけて聞き返してきた。
いきなり顔を近づけられてドキッとしてしまった私は思わず顔を引っ込めてしまった。
こんなことしょっちゅうなのに未だに慣れない。
キスだって何度もしてるっていうのに。

733 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/02(月) 03:42:29.35 O
「ちょっ、顔近いからぁ。」
「あっ、ごめん」

愛斗の顔の前に手をかざし少し後ずさりした私に、愛斗が慌ててた様子で謝る。
私はかざした手を引っ込め、少し熱い顔の熱を感じながらも必死に胸のドキドキを抑えた。

「いいけどさ。オムライスだけじゃ物足りないでしょ?」
「マジで作ってくれんの?」
「いやいや、作るって言っても簡単なやつだよ?あんまり期待しないでね」
「何のスープ?」
「うーん、そうだなぁ野菜スープにしようかな」
「いいね野菜スープ。ヘルシーだし。アヒャー!なんかますます楽しみになってきた!」

愛斗の満面の笑みが私に向けられる。
目をキラキラと輝かせ、子供っぽい無邪気な笑顔だ。

「いや、だからあんまり期待しないでってばぁ」

その笑顔にやっぱりちょっとプレッシャーを感じて、自信なく言葉を返す私。
でもせっかくこんなに喜んでくれてるんだもん。
愛斗のためにおいしいものを作ってあげたいなと思う。
精一杯の愛情を込めて。

よし!がんばろうっと!

734 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/02(月) 03:44:52.95 O
「じゃあ俺はデザート作る!」

一人気合いを入れ直していたら、思い立ったように愛斗が言い出した。

「うぇっ?愛斗が作るの?大丈夫?」
「だいじょぶやって、俺もガキさんになんか食べさしたいんやもん」
「ほんとにぃー?なに作るの?」
「それは…ヒミツ」
「えぇー、なんでよぉ」
「できてからのお楽しみやよー」
「えぇーっ?じゃあ期待しちゃおっとぉ!」
「まかしとき!」
「なにそのすっごい自信」

胸をポンとたたいちゃったりなんかしちゃって。一体この自信はどこから出てくるんだろう。
私にも分けてほしい。

「よーしそうと決まれば!はよ買ってまおう」

そう言うと愛斗が私の手を引っ張って歩き出した。
愛斗がカゴを手に持ち、私が材料を一つ一つ入れていく。
「えっとあとは…」なんて言いながら。

愛斗が作ると言っていたデザート。
カゴに入れられていく材料で何を作るかだいたいわかってしまったけど、気づかない振りをした。
だってあまりにも愛斗が張り切ってて楽しそうにしてたから。私のために張り切ってくれてる愛斗が可愛くて嬉しくて愛しくって。

「なに作るのよぉ?」なんてとぼけて聞いてみたら
「ひ・み・つ~♪」なんて歌っちゃってるんだもん。
そりゃあバレてるなんて言えないよ。

735 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/02(月) 03:48:02.92 O
全ての物を買い終え、私たちは店を出た。
制服姿で2人でスーパーで買い物するのって、なんか恥ずかしかったけど楽しかった。
何年か後もこうして2人で仲良く買い物とかできるといいな。
その時は真ん中に子どもとかいたりして。
なんて…
膨らむ未来への期待に自然と笑みがこぼれた。
愛斗もそんな風に思ってくれてるかな?
そんなことを思って愛斗の顔を見ると、愛斗も私のことを見ていた。

「ガキさんどうしたん?」
「ううん、何でもなぁい」

私は愛斗に微笑みかけると、つないだ手の力を少し強める。
そんな私を愛斗は不思議そうに見つめていた。


続く

| 愛斗×ガキさん | 21:03 │Comment- | Trackback-│編集

(4) 678-682

678 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/01(日) 14:51:49.83 0
ガキさんがバイトを始めた


前は学校帰りにちょこちょこオレの家に来て
少し話したり、ちゅーしたりして一緒に楽しい時間を過ごしてたのに
最近はバイトが忙しいらしくて全然来てくれん・・・


なんやのー!!


この前の日曜日だってデートの約束してたのに
急にバイトが入ったから・・・ごめんね
とか言われて前の晩にキャンセルされるし
上がってたテンションはいっきにガタ落ちで
こっそりガキさんのバイト先を観察しに行ったら
店長らしき人と楽しそうに話してた


最近少しだけ距離がある
想いは同じなのにと思いたい


やけど・・・オレよりバイトのほうが大事なんかな?



679 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/01(日) 14:52:29.59 0



久しぶりにガキさんがオレの家にやってきた
なのに明日はテストだからと言ってすぐに帰ろうとする

やっぱり、オレよりもテストとかバイトのほうが大事なんかな・・・


「じゃあ、また明日」
「待って」
「うん?何?」
「なぁ、バイト・・・楽しい?」
「まぁ、楽しいよ。店長さんいい人だし」
「オレよりバイトが大事?」
「何言ってんのさ」


冗談じゃなく真剣なオレを見て
その問いかけが本気だとガキさんも気づく


「愛斗のほうがずっと大事だよ」


そう言ったすぐ後に照れ隠しのように
言わなくたってわかるでしょと小さく呟いて
恥ずかしそうに隣りに座りなおした


680 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/01(日) 14:52:49.53 0
「もぅ、そんなことで拗ねないの」
「やってぇ・・・」
「店長と1日いるより愛斗といられる1時間のほうが何倍も嬉しいよ」


自分で言ったくせに真っ赤になって、ガキさんはそっぽを向く
それがすごく可愛くて、思わず顔が緩む


「何でバイト始めたん?」
「別に・・・」
「オレには言えんの?」
「あのね、服が・・・」
「服?」
「愛斗とデートのときのお洋服買いたいから・・・」


そういえばガキさんが同じ服着てるの見たことないな
オレと週末にデートするときは毎回違うオシャレな服を着てマジで可愛い
髪型もお団子とかポニーテールとか凝った髪型で
制服を着てる時とは違って少しだけ大人っぽくみえるガキさん
それにドキドキしながら手を繋いだり、腕を組んで歩いたり・・・

681 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/01(日) 14:53:09.63 0
「そんなん気にせんでええのに」
「だってぇ、お洋服ぐらい愛斗とつりあうように見られたいんだもん」



男のオレとしては別に服ぐらい何でもええのに
と思うんやけどなにやら真剣にブツブツ言ってるガキさん
愛斗がカッコいいからいけないんだ・・・とか
そんなんオレに言われても困る
自分ではそんなこと思ったことないし
可愛い顔してるねって男なのに言われるし


女ゴコロとしては平日はほとんど制服だし
デートのときぐらいオシャレだと思われたい
って吉澤さんといつも一緒にいるピンクの人が言ってたっけ?


でも、洋服なんてなんでもええのになぁ・・・

682 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/06/01(日) 14:53:38.00 0
「だいじょーぶ」
「何が?」
「ガキさんは何着ても可愛い」
「もぉ・・・」
「だからもうちょっとバイト減らして?」
「わかった」



服なんかなんでもええからガキさんと一緒にいたい
ただ一緒にいるだけで幸せや
もちろん、一緒にいるだけやなくて触れ合いたいとも思う
だから、抱きしめる
だから、キスをしたい
ガキさんの体をギュッと抱きしめて
今週の日曜日のデートはテーマパーク行こうなって唇に軽くちゅーをした




おわり

| 愛斗×ガキさん | 18:44 │Comment- | Trackback-│編集

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イケメン・タカスレの小説まとめです
てけとーです
職人さま方に感謝!

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