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(3) 88-94

88 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/05/17(土) 21:56:59.77 0
「あなたは魔女を信じますか?」

幼い時から私には特別な力があった。
逆回転CDの曲名を一瞬で当てる力だ。
おじーちゃんにそのことを言うと、
手にひとさし指をあてながらこう言われた。

「りさこのおばあちゃん、本当は魔女なんだよ」

その言葉からもう数年が経つ。
誰にも言っていないけど、私は魔女の血を引いている。

一人だけ、親友の愛理には打ち明けたことがある。
馬鹿にされるかと思ったけど、
愛理も実はカッパを信じている、と秘密を打ち明けてくれた。
以来、私たちは唯一無二の親友となった。


その彼女が、先日始めての恋に終止符を打った。
想いは成就しなかったのに、愛理はすごく綺麗になった。

それは魔法のように。


でも、りさこはまだ、恋になんて興味はない。
告白してくれるクラスメイトや先輩は多いけど。

私はそれよりも完璧な魔女になりたいのだ。
その為にはいろんなこと、知ってなきゃ。
だから私は今日も図書館に足を運ぶ。

89 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/05/17(土) 21:57:39.05 0


学校の勉強なんてつまらない。
図書館の奥の奥。ぎぎぎって動かさないと出てこない本棚にある、
西洋の昔話。これを読み解くのが何よりも楽しみ。
英和だけじゃなく、英英辞書がいるんだけど。

あれ、抜けないな。あ、昨日の夜、ここを整理するって言ってた。
無理やり本を詰め込んだのかもしれない。
私の身長ギリギリのところにあるそれだから、
必死に背伸びして本の角っこに指をかけてひっぱる。
もっ、ちょい。もーちょいっ。

取れた!!そう思ったときにはちょっと様子が変わってた。
同じ段にある本が波となって落ちてくる。
それはまるで、スローモーション。
あたしは避けることもできず、ただ少し屈んで眼を瞑った。

がんっ!どさどさどさ!!!



90 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/05/17(土) 21:58:03.27 0

あたし目がけて降り注いだ本は一つも当たることなく、
地面に落ちた。
でもそれは魔法なんかじゃなくて、


「いっっっっっっっでえぇぇぇぇぇぇ!!!!」

アタシを庇うように盾になってくれた人がいたから。

「す、すいません。大丈夫ですか?」
ちょっと目じりに涙を溜めながら大丈夫って言ったその人に私はハッとした。
この人、知ってる。高橋愛斗。
……愛理の、好きだった人。

「ってえ!なんでこんなん落ちてくるんやぁ」
その人は後頭部を押さえながら落ちた本を棚に戻し始めた。
律儀な人。片手で、しかも背が足りなくて
ぴょんぴょん本を戻す姿がちょっと可愛いな、なんて思ってしまった。


「あ、あの、すみません。助けて、下さったのに…」
上手く目を見て話せない。
おかしいな、男の子と話すなんて、普通のことなのに。

高橋愛斗先輩は、くるっと振り返ると
「んー、怪我せんで良かった。あのままやったら、顔に怪我してたで」
そう言って微笑んだ。
なんか胸がきゅん、ってした…これが、愛理を磨いた魔法?



91 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/05/17(土) 21:58:26.78 0


「ほい、これ取ろうとしてたんやろ?」
そう言って差し出された、本を受け取る。

でもなんでだろう、こんなに大切な本なのに今は読みたくない。

気がつくとあたしは、館長に文句言うから行くな、なんて、
男らしいこと言い出した、高橋先輩の袖を掴んでた。


「あの、お礼がしたいんですけど…」


固辞する先輩を無理やり誘って、学校を出た。
何、真剣になってるんだろう…
きっと、あたし、愛理にかけた魔法の正体が知りたいんだ
だからこうやって。きっと、そう…



92 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/05/17(土) 21:59:06.19 0


「うっわ、すっげー!!」
高橋先輩は、私の部屋に入るやいなや、コレクションの魔女グッズを見始めた。
「すいません、なんか変な趣味ですよね?」
ホントは思ってないんだけどね。
先に文句言われたら嫌だし。

「ううん!オレも魔法使いとか吸血鬼とかすっげー好き!!」
高橋先輩と好きのベクトルが違う気がしたんだけど、
そういってもらえてなんだか嬉しかった。
愛理にしか見せたこと、なかったのに。

それから先輩といっぱい話した。
応援団で団長してて、よく喉壊しちゃうこと。
カラオケが大好きってこと。
…幼なじみで、大切な彼女がいること。

全部全部愛理から聞いてたのに、どうしてかな。
先輩の口から聞けることが嬉しかった。
最後の話だけなぜか心がちくっとしたけど。



93 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/05/17(土) 21:59:59.82 0

楽しい時間はあっという間に過ぎた。

玄関まで送って、ドアを開けると、先輩に夕日がかかる。
先輩の両目がオレンジ色を反映して時間が止まる。
その中に、あたしが閉じ込められてる。

「じゃあ、また」

そう言われて、自分でさよならって言ったのに、どうしてかな。
あたしの中から愛斗先輩が消えない。

別に何か特別なことをされたわけじゃないのに
胸がどきどきして、ぼーっとする。

これ、魔法?


* * * * *

更に夜が深まって、家族が帰ってきた。
今日はりさこ、何か嬉しいことでもあったの?
家族に聞かれて心底戸惑う。
顔に出ちゃってるみたい。
迷惑な魔法だ。ケーキが2個っきゃ入んない。



94 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/05/17(土) 22:00:36.01 0


「おじーちゃん」
食事も終わり、テレビを見ていたおじいちゃんに尋ねる。
「どうして、おばーちゃんは人間と結婚して、
 あたしやママは魔法が使えないの?」

おじいちゃんは、パイプを吸ってゆっくり煙を吐くと、
しーってしながら囁いた。


「おじいちゃんが魔法をかけたら、おばあちゃんは魔女でいることより、
 おじいちゃんと温かい家庭を作ることを選んでくれたからだよ。」


*  *  *  *

親友の愛理にも言えないんだけど、
愛斗先輩にかけられた魔法がまだ解けなくて、
胸の中がきゅるきゅるしてる。

魔女が魔法かけられたなんて、恥ずかしくて言えない。
立派な魔女になりたいけど、
この胸の温かい感覚にもうちょっと身を委ねてたいなんて
贅沢なのかな…


そんなことをぼんやり考えて、
今日も私は、前より進まないページに首を傾げながら本を紐解く。


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| 愛斗×梨沙子 | 21:07 │Comment- | Trackback-│編集

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説明

イケメン・タカスレの小説まとめです
てけとーです
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